テンジャンを一言でいうと
韓国の、大豆の発酵みそです。煮た大豆をついて固めた「メジュ」を発酵させ、塩水に漬けて熟成させます。できあがったら、固まりをつぶした物がテンジャンになり、こした液を煮た物がクッカンジャン(汁物用の醤油)になります。1つの仕込みから、みそと醤油が同時にできるのが特徴です。
| どこで | 韓国(朝鮮半島) |
|---|---|
| 何から | 大豆・塩水(昔ながらの物は大豆と塩水だけ。工場の物は小麦粉を加える物も多い) |
| 寝かせる時間 | メジュを11月初めに作り、乾かして発酵させ、旧暦の1月に塩水に漬ける |
| 働く微生物 | メジュでは、はじめに Bacillus とエンテロコッカス、10日ほどでコウジカビ(Aspergillus)が中心に |
| 納豆との違い | 塩水に漬ける。カビが中心になる。ペーストにする |
食べ方: 毎日の鍋「テンジャンチゲ」
英語版ウィキペディアは、テンジャンを使う代表的な鍋料理「テンジャンチゲ」を紹介しています。土地によって材料が少しずつ違い、地方ごとの作り方が今も残っているそうです。
主な材料
- テンジャン
- 煮干し・大根(だし用)
- 韓国の唐辛子・おろしにんにく
- 玉ねぎ・長ねぎ・じゃがいも・ズッキーニ
- 木綿くらいのかたさの豆腐
- 水
作り方
- 煮干しと大根を煮て、だしを取る
- テンジャンと唐辛子を入れ、さらに煮る
- 煮干しを取り出す
- ほかの具を入れて煮る
同じページによると、昔は家で作ったテンジャンで煮るのがふつうで、キムチと同じように多くの家でテンジャンを仕込んでいました。工業化とともに、工場で作ったテンジャンを使うようになったそうです。肉や魚介を足すと、汁の味が大きく変わるので、そちらの名前で呼び分けます(ワタリガニを入れた物、牛のばら肉を入れた物など)。
作り方の記録
英語版ウィキペディアは、昔ながらの作り方を、次のように書いています。
- 11月初め(立冬のころ)に、大豆を一晩水につけ、塩水で煮て、うすでつくか、石うすであらくひく。
- 約1.8〜3.6Lほどの豆をひとまとめに押し固めて、四角か丸の「メジュ」にする。
- 涼しい日かげで、かたくなるまで1週間から数週間乾かす。
- わらでしばって家の軒につるすか、わらと一緒に、床暖房(オンドル)の暖かい部屋に置いて発酵させる。
- 旧暦の1月に、よく発酵したメジュを洗って日に干し、塩水と一緒に、かめ(オンギ)に入れて熟成させる。炭と唐辛子も入れる。
- よく熟成したら、メジュの固まりをつぶしてテンジャンにし、こした液を煮てクッカンジャンにする。
はじめから少ない塩水で漬け、醤油を取らずに作るテンジャン(チャンジェ)もあります。
納豆と比べると
2024年の論文(Food Chemistry: X 誌)は、韓国のメジュを、まわりの微生物で自然に発酵させる、と書いています。実験で作ったメジュを調べると、主な微生物はコウジカビ(Aspergillus)、Bacillus、エンテロコッカス、ブドウ球菌、ロイコノストックでした。発酵の始めは Bacillus とエンテロコッカスがよく働き、10日を過ぎるとコウジカビが中心になったそうです。納豆の枯草菌と同じ仲間が、メジュの始めにも働いていることになります。違うのはその先で、テンジャンはカビが中心になったメジュを塩水に漬け、何か月もかけてみそにします。
記録に残る、テンジャンの歴史
英語版ウィキペディアによると、3世紀の中国の歴史書『三国志』の「魏書 東夷伝」に、高句麗の人々は豆の発酵が上手だと書かれています。4世紀の高句麗の安岳3号墳の壁画には、みそを作るかめが描かれています。『三国史記』には、683年2月の神文王の婚礼のために、テンジャンとカンジャン(醤油)、メジュ、塩辛を用意したと書かれているそうです。
出典
- Wikipedia "Doenjang" https://en.wikipedia.org/wiki/Doenjang
- Wikipedia "Doenjang-jjigae" https://en.wikipedia.org/wiki/Doenjang-jjigae
- Han DM, Baek JH, Choi DG, Jeon CO (2024) Fermentative metabolic features of doenjang-meju as revealed by genome-centered metatranscriptomics. Food Chemistry: X 23:101658. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11321427/
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
