テンペを一言でいうと
インドネシアのジャワ島で生まれた、大豆の発酵食品です。皮を取って煮た大豆に、クモノスカビ(Rhizopus)の胞子を混ぜて寝かせると、白い菌糸が豆どうしをつなぎ、切り分けられるかたまりになります。ジャワでは毎日のおかずで、たんぱく質の大事な取り方です。
| どこで | インドネシア(ジャワ島) |
|---|---|
| 何から | 大豆(ほかの豆や穀物でも作る) |
| 寝かせる時間 | 約30℃で24〜36時間。ふつうは48時間でできあがり |
| 働く微生物 | クモノスカビ(Rhizopus oligosporus、R. oryzae)。乳酸菌や Bacillus も一緒にいる |
| 納豆との違い | 主役がカビ。糸を引かず、白いかたまりになる |
食べ方: 衣をつけて、さっと揚げる「テンペ・メンドアン」
英語版ウィキブックスは、ジャワ島中部バニュマス地方の「テンペ・メンドアン」の作り方を載せています。メンドアンはバニュマスの言葉で「さっと揚げた」という意味で、外は火が通り、中はやわらかいまま仕上げます。もとは薄く広いテンペを1〜2枚ずつ揚げる料理で、ふつうのテンペを薄く広く切っても作れるそうです。
材料
- テンペ 300g(10×15cmくらい)
- 米粉 100g・小麦粉 大さじ1
- にんにく 2かけ・エシャロット 1個(すりつぶす)
- コリアンダーの粉 小さじ1・白こしょう 小さじ1/4
- 塩 小さじ2・水 125ml
- 青ねぎ 2本(薄く切る)
- 揚げ油
作り方
- 粉・にんにく・エシャロット・香辛料・塩・水・青ねぎを混ぜて、うすい衣を作る
- テンペを1枚ずつ衣にくぐらせ、全体をおおう
- よく熱した油に入れる
- 衣が固まって火が通ったら上げる。黄色くカリカリになるまでは待たない
- 油をよく切り、甘い醤油と刻んだ小さな唐辛子を添える
英語版ウィキペディアは、ほかの食べ方として、ヤシ砂糖と香辛料で汁がなくなるまで煮てから揚げる「テンペ・バチェム」、細切りを揚げて甘辛くからめる「テンペ・クリン」などを挙げています。また、熟れすぎたテンペ(テンペ・スマンギット)は、少しの量をジャワの野菜の煮物の味付けに使うと書いています。
作り方の記録
2026年の総説(npj Science of Food 誌)は、インドネシアでのふつうの作り方を、大豆を水につける、皮を取る、煮る、種菌を混ぜる、決まった温度と時間で寝かせる、とまとめています。英語版ウィキペディアは、時間と温度をもう少しくわしく書いています。
- 大豆を水につけてやわらかくし、皮を取って、半分ほど煮る。
- 冷ましてから、クモノスカビの胞子の入った種菌を混ぜる(熱いままだと胞子が育たない)。
- うすく広げ、30℃くらいで24〜36時間寝かせる。途中で豆の温度が自然に上がり、カビが一気に育つ。
- 白い菌糸が豆をつなぎ、かたまりになったらできあがり。ふつうは48時間で取り出す。長く置くと、色が黒っぽくなる。
昔ながらの作り方では、店で買う種菌ではなく、菌糸のついた葉(ウサル)を使います。テンペはバナナの葉、ワル(オオハマボウ、Hibiscus tiliaceus)の葉、チーク(ジャティ)の葉で包んで作られ、ワルの葉の裏の細い毛には、テンペのカビがついていることがあると、英語版ウィキペディアは書いています。
納豆と比べると
煮た大豆を葉で包んで寝かせる所は、納豆とよく似ています。違うのは、豆を固める主役です。納豆では枯草菌(Bacillus subtilis)が働いて糸を引きますが、テンペではクモノスカビの菌糸が豆をつなぎます。2026年の総説によると、テンペにも乳酸菌や枯草菌などの細菌が一緒にいて、たんぱく質を分ける働きを助けています。においについて英語版ウィキペディアは、よいテンペはかすかにアンモニアのにおいがすることがあるが、強すぎてはいけない、と書いています。
記録に残る、テンペの始まり
英語版ウィキペディアによると、テンペは中部ジャワのクラテン県バヤットで初めて作られ、1700年ごろにはよく食べられていた、とされています。初めは、もともとジャワにあった黒い大豆で作っていましたが、白(黄色)い大豆が入り、豆腐づくりが広まると、白い大豆に変わっていきました。テンペが豆腐づくりから偶然生まれたという説もあり、始まりはまだ議論が続いています。
出典
- Wikibooks「Cookbook:Tempe Mendoan I」 https://en.wikibooks.org/wiki/Cookbook:Tempe_Mendoan_I
- Wikipedia "Tempeh" https://en.wikipedia.org/wiki/Tempeh
- Unraveling Tempeh through omics: a scoping review of fermentation pathways and functional health benefits. npj Science of Food(2026年2月). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13066425/
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
