世界の納豆28種を、同じ9つのものさしで並べます。この本がやっているのは、それだけです。
ただ、なぜ私がこれを並べたのかは、本文のどこにも書いていません。だから先に、その話を書きます。
2015年10月21日、私は同じことを考えていました
十一年前、自分のブログにこんな書き出しの記事を上げています。
「納豆の味付けとか薬味ってどうしてますか?」
「中国で納豆ブームということで今注目ですね。」
「日本でも北の方では砂糖入れる人もいるという話ですし、いろいろ調べてみたら次のように私にとっては意外なものもたくさんありました。」
そのあとに、調べて集めた一覧を並べました。味付けが8つ、薬味が26。全部は第8章に載せます。
自分の食べ方も書いています。
「私は付属のタレではなく醤油+辛子+長ネギ+鰹節が一番好きです。」
「実家では生卵+ツナ+納豆を混ぜてご飯にかけて食べる朝飯も定番でした。」
記事の最後には、こんな見出しを立てていました。
「海外に納豆を広げるための納豆料理案(妄想)」
インドは納豆カレー。イタリアは納豆ピザ。フランスは納豆テリーヌ。中国は納豆餃子。韓国は納豆クッパ。ロシアは納豆ピロシキ。トルコは納豆ケバブ。ドイツは納豆フランクフルト。ベトナムは納豆バインミー。タイは納豆トムヤムクン。スペインは納豆パエリア。ベルギーは納豆ワッフル。イギリスは納豆シェパーズパイ。メキシコは納豆タコス。
十四か国ぶん、勝手に考えて並べました。妄想だと自分でも書いています。
出典:「納豆の味付けと薬味を考える会」2015年10月21日 https://www.50kgdiet.com/entry/2015/10/21/105637

十一年後にこの本を作って分かったのは、妄想する必要がなかったということです。
納豆は、すでに世界にありました。西アフリカに5種、ヒマラヤに2種、インド北東部に11種、東南アジア山地に5種、東アジアに5種。合計28種です。これに、スーダンのカワルが準項目として1つ加わります。豆や種ではなく葉を使うため、28種には数えませんでした。私が「広げる」と書いた場所のいくつかには、同じ枯草菌の発酵食品が先に座っていました。
「地域で全然違う」を面白がる癖
2017年の鏡開きの記事には、こう書いています。
「日本の古い文化って関東と関西で全然別物だったりして面白い。地域特性が色濃く残る文化、大切にしたいですね。」
その記事の締めの一行はこれです。
「餅、地域特性ありすぎる。けどおもしろすぎる。」
出典:「【鏡開き2017】鏡餅を黒豆しるこ、納豆餅、辛味餅で食す ~お餅の食べ方って地域によって全然違うんだね~」2017年1月12日 https://www.50kgdiet.com/entry/2017/01/12/163453
同じ食べ物が、場所を移すと別物になります。それが面白いのです。
この本の第1章から第6章までは、要するにこの一行を、餅から納豆へ、日本から世界へ広げただけです。
この本を、どう書いたのでしょうか
私は研究者ではありません。納豆を食べて、そして調べた人間です。
だから本文は、私の感想ではなく、たどれる出典で組んであります。文献IDと出典の対応は、付録Cにまとめました。
そのうえで、第1章から第11章の終わりに「私の食卓」という短いコラムを置きました。
その章で扱った世界の納豆と、私が実際に食べてきた納豆が、どこで交わるかを書いています。出典はすべて、私が当時書いたブログ記事のURLです。
世界の納豆28種の話をしながら、たまに私の台所に戻ってきます。そういう本にしました。
