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カントン

納豆と同じ枯草菌がたくさんいるのに、酸っぱい方へ進む種の調味料です。

カントンを一言でいうと

ガーナ北部で作られる、カポックの木(Ceiba pentandra)の種の発酵調味料です。種を干して粉にし、キャッサバの粉を少し混ぜて水で練り、2日寝かせてから、小さな粒や玉にして干します。西アフリカのほかの種の調味料と見た目や使い方は似ていますが、発酵の中身は違い、酸っぱい方へ進みます。

どこでガーナ北部(ダゴンバの人々など)
何からカポックの木の種の粉+キャッサバの粉(10対1)
寝かせる時間48時間
働く微生物乳酸菌と酵母が多い。枯草菌などの Bacillus もたくさん見つかる
納豆との違い発酵が進むと酸っぱくなる(pH 約6.5→約4.7)

食べ方: スープの味とたんぱく質を足す

2025年の論文(International Journal of Food Science 誌)は、カントンを、北部ガーナでスープに風味を与え、たんぱく質を足す昔ながらの調味料と紹介しています。北部ガーナでは、主にダゴンバの人々が作って食べていて、この地域の安いたんぱく源になっているそうです。できあがりは小さな玉で、そのまま売られ、使われます。

英語版ウィキペディアの「ガーナ料理」の項目は、ガーナの食事は、でんぷんの多い主食に、ソースかスープと、たんぱく質の多いおかずを合わせるのが中心だと書いています。カントンは、そのスープの側に入る調味料です。カントンを使ったスープの、材料と手順まで書いた作り方は、このページを書いた時点で見つけられませんでした。

作り方の記録

同じ2025年の論文は、カントンの作り方を次のようにまとめています。

  1. カポックの種を風でふるい、洗って、繊維・殻・小石などを取る。
  2. 天気に合わせた日数、天日で干す。
  3. よく乾いたら臼でついて殻を取り、ふるって細かい粉にする。
  4. 種の粉10に対してキャッサバの粉1を混ぜ、水を足して固いペーストにする。
  5. 48時間発酵させる。はじめの24時間はボウルに入れて覆う。そのあと覆いを取り、手で混ぜて、まわりの水気を飛ばすために約8時間日に当て、残りの時間はまた覆う。
  6. 48時間たったら小さな粒に分けて干す。
  7. 干した粒に水を少しふり、臼でついてこね、小さな玉にする。これで売ったり食べたりできる。

研究で調べた北部の農村ニャンパラの作り場では、発酵中の温度は28〜38℃でした。

納豆と比べると

2014年、ガーナとデンマークの研究者は、ガーナ北部の2つの作り場で、カントンの Bacillus の仲間を調べました(International Journal of Food Microbiology 誌)。空気のある所で芽胞(たね)を作る菌を196見分けたところ、いちばん多かったのは納豆と同じ枯草菌(Bacillus subtilis)の仲間で、その63%を占めました。キャッサバの粉から来た菌、種から来た菌も見分けています。ただ、それらが発酵でどんな役をしているかは、まだ調べる必要があると書いています。

2025年の論文は、ダワダワやビカルガのような西アフリカのほかの種の調味料では、Bacillus の仲間がたんぱく質を分けてアンモニアを出し、pH が約8.5まで上がると書いています。カントンはそうならず、乳酸などの酸ができて酸っぱくなる発酵で、酸に強い乳酸菌と酵母が多い、としています。同じ菌がいても、どちらへ進むかは材料と作り方で変わる、ということが見える食べ物です。西アフリカのダワダワやビカルガと見比べてみてください。

菌の研究

2025年の論文は、ニャンパラの作り場で、発酵の前から仕上がりまでの菌の顔ぶれを調べました。乳酸菌では、ペディオコッカス(Pediococcus acidilactici、P. pentosaceus)、ワイセラ(Weissella paramesenteroides、W. confusa)、Lactiplantibacillus plantarum が、酵母では Saccharomyces cerevisiae や Pichia kudriavzevii などが見つかりました。腸内細菌の仲間も見つかっていて、論文は、決まった種菌を使うことと、家での衛生をきちんとすることで、安全で味のそろったカントンが作れるようになる、と書いています。このサイトでは、体への効き目は書きません。

記録に残る、カポックの木

英語版ウィキペディアによると、カポックの木は高さ60mを超えることもある熱帯の大木で、さやの中の種は、綿のような黄色っぽい繊維に包まれています。「カポック」はマレー語から来た名前で、この繊維をとるために、とくに東南アジアで育てられています。アメリカの熱帯が元の生まれとされてきましたが、西アフリカと中央アフリカにも、もともと生えていたと考える強い証拠があるそうです。種からは、綿の種の油に似た油もしぼれます。

カポックの種の発酵調味料は、ガーナの外にもあります。2025年の論文(Scientific Reports 誌)は、ブルキナファソの発酵調味料として、マーリ(バオバブの種)、ビカルガ(ロゼルの種)、スンバラ(パルキアの種)と並べて、カポックの種から作る「マンチュア」を挙げています。

出典

  1. Ametefe EN ほか (2025) Molecular Characterization of Culturable Yeasts and Nonspore-Forming Bacteria Associated With Fermented Kapok Seeds (Kantong), a Traditional Food Condiment in Ghana. International Journal of Food Science 2025:6452183. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12208756/
  2. Kpikpi EN ほか (2014) Identification of Bacillus species occurring in Kantong, an acid fermented seed condiment produced in Ghana. International Journal of Food Microbiology 180:1-6.(要旨のみ確認) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24747716/
  3. Coulybaly ほか (2025) Sensory properties of fermented Zamné (Senegalia macrostachya seeds) and their influence on the broth quality and sensory profile. Scientific Reports 15:28278. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12318027/
  4. Wikipedia "Ghanaian cuisine" https://en.wikipedia.org/wiki/Ghanaian_cuisine
  5. Wikipedia "Ceiba pentandra" https://en.wikipedia.org/wiki/Ceiba_pentandra

このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。

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