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The Atlas · 西アフリカ

Parkia系アフリカ納豆

西アフリカ・中央アフリカのサバンナ(ナイジェリア・ガーナ・ブルキナファソ・マリ・セネガルなど)|西アフリカの納豆

ダワダワを一言でいうと

西アフリカのサバンナに生える木、アフリカン・ロカストビーン(Parkia biglobosa)の種を発酵させた、においの強い調味料です。大豆ではなくマメ科の木の種ですが、作り方も菌も納豆に近い仲間です。国によって呼び名が変わり、ナイジェリアのヨルバ語ではイル、ガーナではダワダワ、ブルキナファソとマリではスンバラ、セネガルではネテトウと呼ばれます。スープや煮込み、米料理のうま味の土台になります。

どこで西アフリカ・中央アフリカのサバンナ(ナイジェリア・ガーナ・ブルキナファソ・マリ・セネガルなど)
何からアフリカン・ロカストビーンの種(ナイジェリアの一部では大豆でも作る)
寝かせる日数1〜3日(24〜72時間)
主な菌Bacillus subtilis など Bacillus の仲間
食べ方スープ・煮込み・米料理の味付けに

食べ方: ナイジェリアの青菜の煮込み「エフォ・リロ」に

米国の料理誌『Saveur』は、トラ・アケレレさんの『The Orishirishi Cookbook』から、ヨルバの家庭料理「エフォ・リロ」の作り方を載せています(6人分)。ヨルバ語で「かき混ぜた葉」という意味の、青菜の煮込みです。イル(発酵させたロカストビーン)が、独特のうま味とこくを足します。元は少し苦みのある青菜ショコを使いますが、ほうれん草で代わりがききます。

材料(煮込み)

  • 赤ピーマン 大8個・トマト 5個・玉ねぎ 2個
  • スコッチボネット唐辛子 5本
  • ショコの葉(またはほうれん草) 約1kg
  • イル 大さじ3
  • 干した牛の皮(ポンモ)・干し鱈 各約100g
  • 干しえびの粉 1/4カップ+大さじ2
  • パーム油・サラダ油 各大さじ2
  • 燻製の干し魚 約30g・固形スープの素 2個・塩
  • 下ゆでした鶏肉(玉ねぎ・唐辛子・しょうが・にんにく・香辛料と約45分煮た物)

作り方

  1. ピーマン・トマト・玉ねぎ・唐辛子に水1/2カップを加え、ミキサーでなめらかにする
  2. 青菜を沸いた湯で約6分ゆで、水気をしっかりしぼり、軽く塩をふる
  3. 鍋で1の野菜のピューレを、少し色が濃くとろりとするまで約5分煮る
  4. ポンモ・干し鱈・干しえびの粉・イル・油・スープの素・干し魚・鶏肉を入れてひと煮立ちさせる
  5. 弱火にして青菜を入れ、よく混ぜながら約10分、味がなじむまで煮る
  6. ゆでてついたヤムいもなどの「スワロー」か、ご飯と一緒に

2024年の論文(International Journal of Food Science 誌)は、この調味料が、チェブジェン、リ・グラ、ジョロフライスといった地域の米料理、スープや煮込みの土台になっていると書いています。

作り方の記録

同じ2024年の論文は、作り方を次のようにまとめています。作るのは、村の女性たちの仕事です。

  1. 木から集めたさやの種を、24時間以上ゆでる。
  2. 固い皮をむき、もう一度1〜2時間ゆでる。
  3. 25〜35℃の気温のまま、24〜72時間、空気にふれさせて発酵させる。
  4. 発酵した物を風で干し、丸い玉にする。

国連食糧農業機関(FAO)の資料は、セネガルのネテトウの昔ながらの作り方として、種を12〜24時間ゆで、砂と一緒についた皮をむき、きれいに洗ってから、もう一度ゆでて2〜3日発酵させる、と書いています。25kgの種の皮むきと洗いだけで3時間かかることもあり、セネガルのバス・カザマンス地方フォニでは、皮をむいて洗う機械を地元で作り、1時間に70〜80kgを処理できるようにしました。

大豆で作るダワダワ

ナイジェリアのイバダン大学のオドゥンファは、1986年の本の章で、ナイジェリアのベヌエ州とプラトー州では、ロカストビーンの代わりに地元の大豆でダワダワを作っていると書きました(Soyinfo Center の要約)。作り方は次のとおりです。

  1. 大豆を茶色になるまでいって、ひいて皮を取る。
  2. 3時間ゆで、ひょうたんのざるで水を切り、葉を敷いたかごに広げる。
  3. 前に作った大豆のダワダワを混ぜ、同じ葉でおおう。
  4. 暖かい所に2〜3日置いて発酵させる。
  5. 天日で干し、ついて細かい粉にする。

前に作ったダワダワを混ぜて、次の発酵を起こしているところが目を引きます。

菌の研究

オドゥンファは1985年、茨城県つくば市で開かれた「塩を使わない大豆発酵食品のアジア会議」で、西アフリカの納豆に似た食べ物を発表しました。ダワダワは、ハウサ語の名前で、枯草菌(Bacillus subtilis)による発酵食品だと紹介しています。2024年の論文も、まわりにいる Bacillus の仲間が、アルカリ性の中で発酵させると書いています。発酵の間に、種のたんぱく質がアミノ酸に分かれ、強いアンモニアのにおいが出てきます。このサイトでは、体への効き目は書きません。

記録に残る、この調味料のいま

FAO の資料によると、セネガルでは、強い広告とともに、とくに町で広がった工場製の固形スープの素に、ネテトウが置きかえられることがありました。ダカールの主婦の間には、昔ながらのネテトウは衛生的でない所で作られ売られている、という心配がありました。そこで、ペースト・粉・キューブにして、透明な袋に密封して売る、新しいネテトウが作られました。2024年の論文も、近ごろは昔ながらのにおいが好まれなくなり、多国籍企業の固形スープの素が求められるようになったと書いています。その固形スープの素には、ロカストビーンを発酵させる昔からのやり方から取った製法が使われている、とも書いています。

数字も残っています。オドゥンファは、毎年約25万トンのロカストビーンから約17万トンのダワダワが作られ、西アフリカで1億人を超える人が食べていると書きました。同じ1986年の本には、日本の納豆の章もあり、1982年の日本の糸引き納豆の生産量を約17万トンとしています(どちらも Soyinfo Center の要約)。

同じ西アフリカには、ほかの種から作る仲間もあります。アフリカン・オイルビーンのウグバ、メロンの種やヒマの種のオギリ、プロソピスの種のオクペイェ、ロゼルの種のビカルガです。

本では

本『世界の納豆アトラス』では、アフリカの仲間の最初として、24番目に置いています。

出典

  1. Tola Akerele「Efo Riro (Nigerian Stewed Greens)」Saveur(2022年3月3日更新) https://www.saveur.com/recipes/efo-riro-recipe/
  2. Masters ほか (2024) Protein Quality of African Locust Bean—A High-Value Gathered Tree Food Contributing Protein and Palatability to Plant-Based Diets. International Journal of Food Science 2024:1596212. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11371448/
  3. FAO「Agroforestry parklands in sub-Saharan Africa」第2章 https://www.fao.org/4/x3940e/X3940E03.htm
  4. Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.1173 Odunfa 1986、No.1194 Odunfa 1986、No.1195 Ohta 1986 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151

このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。

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