ビカルガを一言でいうと
ブルキナファソなど西アフリカで、ロゼル(Hibiscus sabdariffa)の種を発酵させて作る調味料です。ロゼルは、がくがハイビスカスティーになる草で、その種を使います。長くゆでた種を発酵させ、ついて小さな玉にし、蒸してから干します。使う時は、ぬるま湯につけて、その汁をソースやスープに入れます。
| どこで | ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン、スーダンなど |
|---|---|
| 何から | ロゼルの種(土地によってほかの種も混ぜる) |
| 寝かせる日数 | 3〜4日。2回に分ける時は2〜3日と1〜2日 |
| 主な菌 | 枯草菌(Bacillus subtilis)など Bacillus の仲間 |
| 食べ方 | 汁を取って、ソース・スープ・煮込みに |
食べ方: 綿の種のソース「ゴルビス・ジンド」に
西アフリカの農民団体の連合 ROPPA の女性部会が作った料理集『De la terre à la table(土から食卓へ)』は、ブルキナファソ北部の「綿の種のソース(ゴルビス・ジンド)」を載せています(6人分)。ビカルガをゆでて汁を取り、ソースのもとにします。同じ鍋に、パルキアの種の発酵調味料スンバラも入ります。
材料(6人分)
- 綿の種の粉 300g
- ビカルガ 100g
- スンバラの小さな玉 3〜4個
- 羊の肉 1kg(ひと口大に切る)
- 油 150ml
- トマト 中4〜5個・玉ねぎ 中3個・ピーマン 2個
- にんにく 4〜5かけ・パセリ 1束
- かん水 少し・塩
作り方
- トマト・玉ねぎ・ピーマンを洗って切る。にんにくをつぶし、パセリを刻む。スンバラをつく
- ビカルガをゆでて、汁を取る
- 肉と切った野菜を油で炒め、ビカルガの汁を入れ、水を足して2Lにする
- 20分煮立てたら、綿の種の粉と少しのかん水を入れて混ぜ、15分煮る
- スンバラ・にんにく・パセリ・香辛料・塩を入れる
- 弱火で10分煮て出す
料理集によると、このソースは、とうもろこしや雑穀(ミレット)の粉を練った「トー」と一緒に、昼にも夜にも朝にも、行事の時にも食べられています。
2008年の論文(African Journal of Biotechnology 誌)は、スンバラはそのまま料理に入れるのに対して、ビカルガはまずぬるま湯に数分つけ、その水を煮込みやスープやソースに使う、と書いています。上の料理でビカルガをゆでて汁を取るのも、同じ使い方です。
作り方の記録
同じ2008年の論文は、ブルキナファソの15か所の作り手を回って、作り方を記録しました。作るのは主に女性で、ビカルガは作り手の収入にもなります。パルキアの種(スンバラの原料)があまり手に入らない土地で、主に作られているそうです。
- 種を長く天日で干し、手でより分け、ついて皮を取り、風で飛ばしてごみを除き、2〜3回水で洗う。浮いた種や小石はここで取り除く。
- 指で簡単につぶれるまで、火の強さに合わせて12〜24時間ゆでる。もろこし・とうもろこしなどの茎や木を燃やした灰の汁(昔ながらのかん水)を入れて、早くやわらかくすることが多い。
- かごで水を切り、ふたのできる入れ物(かめ・鍋など)で発酵させる。入れ物の底に、ランネア(Lannea microcarpa)の青い葉と灰を敷く作り手もいる。
- 1回で発酵させる時は3〜4日置き、つぶすか、よくついて小さな玉にし、一晩蒸す。
- 多くの作り手は2回に分ける。1回目はかごに入れて2〜3日、何度もかき混ぜる。ほぼペーストになるまでつき、大きな玉にして、底に少し水を張った鍋に入れて密閉し、弱い湿った熱で1〜2日、2回目の発酵をさせる。
- 強いアンモニアのようなにおいが出たら、玉をまとめてこね直し、小さな玉にして一晩蒸す。
- 季節に合わせて1〜3日、天日で干す。玉の向きを何度も変えないといけない、骨の折れる仕事だそうです。干した物を炒る作り手もいる。
作り手たちは、最後に蒸す手間が、味と日持ちを決めると話しています。
菌の研究
2008年の Ouoba ほかの研究(Journal of Applied Microbiology 誌)は、ブルキナファソの各地のビカルガから70の菌を取り出して調べました。もっとも多かったのは枯草菌(Bacillus subtilis、42)で、次が B. licheniformis(16)でした。そのほか、B. cereus、B. pumilus なども見つかっています。2013年の研究は、ビカルガから取り出した B. amyloliquefaciens の仲間が、ほかの菌やカビをおさえる物質を作ることを調べ、作る時の種菌の候補として報告しました。このサイトでは、体への効き目は書きません。
名前と仲間
2008年の論文のはじめには、ニジェールの「ダワダワ・ボツォ」、マリの「ダトゥ」、スーダンの「フルンドゥ」、カメルーンの「ムブジャ」という呼び名が並んでいます。ただ、同じ論文の後半では、スーダンのフルンドゥ(発酵は1回で7〜10日)とカメルーンのムブジャ(7日と3日の2回)を、ゆで時間が約3時間と短く、最後に蒸さない、作り方の違う物として比べています。土地によっては、オクラやバオバブなど、ほかの植物の種をロゼルの種と一緒に使うこともあるそうです。
同じ西アフリカには、ほかの種から作る仲間もあります。ロカストビーンのダワダワ(スンバラ)、アフリカン・オイルビーンのウグバ、メロンの種やヒマの種のオギリ、アフリカン・メスキートの種のオクペイェです。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、アフリカの仲間の最後として、28番目に置いています。
出典
- ROPPA 女性部会『De la terre à la table : L'Afrique de l'Ouest et ses trésors culinaires』「Sauce graine de coton (Gorbiss Zindo)」(2024年) https://www.alimenterre.org/system/files/2024-10/RECETTES%20CUISINE%20version%20revue.pdf
- Parkouda C, Diawara B, Ouoba LII (2008) Technology and physico-chemical characteristics of Bikalga, alkaline fermented seeds of Hibiscus sabdariffa. African Journal of Biotechnology 7(7):916-922. https://www.ajol.info/index.php/ajb/article/view/58575
- Ouoba LII ほか (2008) Identification of Bacillus spp. from Bikalga, fermented seeds of Hibiscus sabdariffa: phenotypic and genotypic characterization. Journal of Applied Microbiology 104(1):122-131. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17922831/
- Compaoré CS ほか (2013) Bacillus amyloliquefaciens ssp. plantarum strains as potential protective starter cultures for the production of Bikalga, an alkaline fermented food. Journal of Applied Microbiology 115(1):133-146. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23565829/
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
