家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。
今日のきっかけは、発表されたばかりの納豆の新商品です。そこから、日本と世界の「干した納豆」をたどってみます。
今日発表された、納豆を乾かしたおつまみ
2026年10月16日、株式会社Shonan Soy Studio(本社 神奈川県中郡大磯町)が新商品を発表しました。おつまみ納豆「なっとば」です。発売は2026年10月22日(木)です。
リリースには「納豆を低温乾燥し、旨みと噛みごたえのある食感に仕上げたおつまみ納豆「なっとば」」とあります。
納豆を“ご飯のお供”から“お酒と楽しむ一皿”へ、という言葉も添えられていました。
ベースは、神奈川県鎌倉市の野呂食品の「鎌倉山納豆」です。大豆は北海道産です。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000100536.html
味は4種類です。
「木桶醤油」は、兵庫県の足立醸造の木桶醤油を粉末にしています。それを納豆の表面にコーティングした味です。
「にんにく黒胡椒」は、青森県産のにんにくを乾燥させてチップにしています。
「梅しそ」は、神奈川県小田原市の曽我の梅干しに、国産のちりめん紫蘇の赤紫蘇を合わせた味です。
そして「いぶりがっこ」。秋田県産のいぶりがっこを、自社で乾燥させています。
名前は「納豆」と「鮭とば」の「とば」を組み合わせたものです。
リリースでは、鮭とばの「とば」はアイヌ語の「tupa(トゥパ)」に由来するという説がある、と紹介されています。
2015年に私が並べた、納豆の味付けと薬味
この4つの味を、私の昔の一覧と並べてみました。2015年10月21日に書いたブログ納豆の味付けと薬味を考える会です。
あの記事では、中国で納豆ブームということで注目されている、と書いています。いろいろ調べてみたら、私にとって意外なものもたくさんあった、とも。
そこで並べたのが、納豆の味付け8つと、薬味26です。
味付けは、付属のタレ、醤油、砂糖、ヨーグルト、マヨネーズ、柚子胡椒、味噌、からし。
薬味は、鰹節、ツナ、キムチから始まります。アボカド、オクラ、マグロ、豆腐まで並んでいます。
自分でも「薬味というか具というかメインというかいろんなモノ入れちゃいました」と書いていました。にぎやかな一覧です。
並べてみると、なっとばの「木桶醤油」の醤油は、私の味付けの一覧にありました。
「にんにく黒胡椒」の胡椒は、薬味の一覧に入っていました。「梅しそ」の梅干しと、しそ(大葉)もです。
ただ、私の一覧のしそは大葉です。なっとばのしそは赤紫蘇です。
一方で、にんにくといぶりがっこは、私の一覧にありませんでした。
漬物なら、高菜漬けやわさび漬け、キムチ、ザーサイは入れていました。それなのに、いぶりがっこは無かったんです。
11年前の自分の一覧と、今日の新商品。並べてみると、あった味と無かった味がくっきり分かれました。面白かったです。
ちなみに、2015年の私がいちばん好きだと書いていた食べ方があります。付属のタレではなく、醤油+辛子+長ネギ+鰹節です。
実家では、生卵+ツナ+納豆を混ぜてご飯にかけて食べる朝飯も定番だった、と書いていました。
日本にも前からある、納豆を干して食べる知恵
納豆を乾かしてつまみにする食べ方は、日本にも前からあります。
干し納豆は、できた納豆に塩と粉をまぶし、天日で乾かした食べ物です。
農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」には、茨城県水戸の干し納豆と、熊本県に伝わる「こる豆」が載っています。
材料は納豆、塩、小麦粉や片栗粉。天日で数日干します。空気の乾いた冬が作りやすいそうです。
農林水産省の図鑑によると、水戸の干し納豆はコリコリとした歯ごたえがあります。お茶請けや酒のつまみとして食べられているそうです。
今も、茨城県八千代町のいばらき食品工業が作っています。天日干しで、機械を使わず1つずつ作っているとしています。
その商品の原材料は、大豆・納豆菌・食塩・小麦粉に、七味唐辛子や青のりを加えた物です。
七味も青のりも、私の2015年の薬味の一覧に入っていた名前でした。
熊本の「こる豆」は、納豆に塩をふり、小麦粉をかけて混ぜます。片栗粉や米粉でもよいそうです。
それを平らな所に広げ、天日で2〜5日ほど干して、好みの硬さにします。
始まりは、文禄の役(1592〜1593年)だと考えられています。加藤清正の熊本の部隊が、朝鮮に出兵した時です。
食べ方は、そのまま。またはお茶漬けや酒の肴です。
日本の外で、納豆を干して長く持たせる仲間
納豆を干して長く持たせる仲間は、日本の外にもあります。
トゥアナオは、タイ北部とミャンマーのシャン州で作られてきた、糸を引く大豆の発酵食品です。名前はタイ語で「腐った豆」という意味です。
できたては、バナナの葉に包んで蒸したり焼いたりして食べます。
長く持たせる時は、直径約2.5〜4cmの玉にして押しつぶします。薄い円盤にして、天日で干すんです。
1970年に記録された、タイ北部ランパーンとランプーンの村の作り方があります。そこでは、干した物は何か月も持つとされています。
その干した円盤は、フライパンであぶり、すり鉢で粉にします。それを、トマトとひき肉のディップ「ナムプリック・オン」に入れる作り方があります。
米国の料理誌『Saveur』が載せた作り方です。
キネマは、塩を入れない大豆の発酵食品です。糸も引きます。
食べられているのは、ネパール東部から、インドのシッキム・ダージリン、ブータンにかけて。ご飯にのせるより、カレーやスープの具にして火を通して食べるそうです。
昔ながらの作り方では、3日ほど天日で干します。すると、半年ほど保存できる干しキネマになります。
これは1985年のシンポジウムで、ネパールの中央食品研究所の Tika Karki が報告した作り方です。
干したキネマを水に10〜15分つけて戻し、スープ(キネマ・コ・ジョル)にする作り方もあります。つけた水も捨てずに使います。
ネパールの食のサイト The Gundruk が、2015年にリンブーの家庭料理として載せたものです。
水戸の干し納豆もこる豆も、トゥアナオもキネマも、天日で干します。違うのは、その先の食べ方です。
日本の干し納豆は、そのままかじる。タイ北部やヒマラヤの干した物は、料理の味のもとにする。
水戸の干し納豆やこる豆は、お茶請けや酒の肴になります。トゥアナオは粉になってディップへ。キネマは戻されてスープへと入っていきます。
新商品のニュースを、干した納豆の図鑑を開く入口に
なっとばは、低温で乾かした新しいおつまみです。リリースが名前の由来にしたのは、鮭とばでした。
水戸の干し納豆やこる豆、トゥアナオ、キネマとは、作り方も味の付け方も違います。
それでも「納豆を乾かす」という一つのニュースから図鑑をたどると、日本の天日干しの知恵から、タイ北部やヒマラヤで干して持たせてきた納豆まで、話がどんどんつながっていきました。
今日のニュースを、干した納豆の図鑑を開くきっかけにしてもらえたらうれしいです。
干し納豆、トゥアナオ、キネマのページには、それぞれの作り方や食べ方を、出典と一緒にまとめています。
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