一言でいうと
総務省の家計調査で、1世帯が1年に納豆に使うお金を52の市で比べると、上位は東北と北関東の市が並び、下位は近畿と四国の市が並びます。それでも、京都の京北や熊本のように、西にも納豆の郷土料理が残る土地があります。
納豆にお金を使う市の順位
家計調査(二人以上の世帯)の、2023〜2025年の3年平均です。比べているのは、都道府県庁のある市と政令指定都市の52市で、県ごとの数字ではありません。食べた量ではなく、納豆に払ったお金です。
| 上位10市 | 1位 福島市 7,102円、2位 盛岡市 6,950円、3位 秋田市 6,875円、4位 水戸市 6,797円、5位 青森市 6,732円、6位 山形市 6,461円、7位 長野市 6,384円、8位 前橋市 6,383円、9位 仙台市 6,195円、10位 富山市 6,110円 |
|---|---|
| 大きな都市 | 東京都区部 18位 5,102円、札幌市 22位 5,066円、名古屋市 32位 4,457円、大阪市 49位 3,199円 |
| 九州 | 熊本市 12位 6,008円、福岡市 21位 5,067円、鹿児島市 23位 4,944円、大分市 30位 4,637円 |
| 下位5市 | 48位 徳島市 3,282円、49位 大阪市 3,199円、50位 高知市 3,176円、51位 堺市 3,137円、52位 和歌山市 2,468円 |
1位の福島市と52位の和歌山市では、およそ2.9倍の差があります。熊本市は12位で、九州の市でいちばん上です。
納豆が主役の郷土料理
農林水産省の「うちの郷土料理」には、47都道府県の料理が1,365ページ載っています。全部のページから「納豆」を探し、納豆が料理の中心にある物を並べました。
| 納豆汁(秋田) | すりつぶした納豆を混ぜた味噌汁で、県南の郷土料理。里芋、油揚げ、きのこ、わらび、豆腐が入ります。県南の内陸では、正月に雑煮ではなく納豆汁を食べる所があります。 |
|---|---|
| 納豆汁(山形) | 冬を越すための保存食として、納豆を家で作るのが珍しくなかった土地の汁。いもがらが欠かせず、七草や元旦、大晦日などに食べます。 |
| そぼろ納豆(茨城) | 納豆と割り干し大根を合わせ、塩や醤油に漬け込む水戸の料理。1か月ほどで味がなじんでから食べます。 |
| きりざい(新潟) | 納豆に刻んだ野菜を混ぜる、魚沼の料理。野沢菜漬けが欠かせません。 |
| 納豆餅(京都) | 京北地域では、正月に納豆餅と味噌汁を食べる風習が残っています。農林水産省は、関西ではあまり納豆を食べないが、京北では今も納豆が暮らしに強く根づいている、と書いています。 |
| 餅料理(岩手) | 今およそ300通りの食べ方がある餅料理の1つに、納豆とねぎとしょうゆで食べる納豆餅があります。 |
| 桜納豆(熊本) | 馬刺しを細かく叩いて納豆と合わせ、うずらの卵をのせます。日本酒や焼酎のつまみとして人気だと書かれています。 |
山形の雪割納豆は五斗納豆に、ひき割りの納豆を使う宮城の納豆汁はひきわり納豆に書きました。
発祥の言い伝え
納豆の始まりの言い伝えは、いくつかの土地に残っています。どれも記録で確かめられた話ではありません。
- 秋田・横手 — 源義家が大屋で雪に閉じ込められ、馬の背で煮豆がわらの中で発酵した、という伝説。横手市の金沢公園には、後三年の合戦900年祭を記念して、地元の納豆メーカーのヤマダフーズが建てた「納豆発祥の碑」があります。
- 茨城・水戸 — 源義家が後三年の役(1083年)で水戸の渡里町に泊まり、残った煮豆をわらで包んでおいたら発酵した、という伝承。水戸市自身が「納豆の誕生については、諸説あります」と書いています。
- 京都・京北 — 農林水産省は、納豆発祥の地は各地に諸説あるが、京都府もその1つといわれている、と書き、常照皇寺と光厳法皇の言い伝えを紹介しています。
水戸と納豆
水戸市は、天狗納豆の初代の笹沼清左衛門が、宮城での2年の修業のあとに糸引き納豆を売り出し、1889年(明治22年)の小山〜水戸の鉄道の開通と、1936年(昭和11年)の水戸駅のホームでの販売で広まった、と書いています。小粒の大豆が使われたわけは、納豆の粒の大きさにまとめました。
水戸市は2022年6月に「水戸市納豆の消費拡大に関する条例」を作り、7月10日を「納豆の日」と決めました。条例には、人それぞれの好みに配慮する条文も入っています。
西日本の納豆
全国納豆協同組合連合会(全納連)が2025年6月に2,000人に聞いた調査では、近畿は「臭いが嫌い」「味が嫌い」と答えた人の割合が全体より高く、納豆を食べない理由でいちばん多かったのは「昔から食べる習慣がない」(51.6%)でした。
九州では、熊本市の納豆メーカーのマルキン食品が、2026年の令和8年熊本地震で阿蘇・宇土・松橋の工場と物流センターに被害を受け、7月29日に製造ができないと告知し、8月7日に一部の納豆を8月11日ごろから順に売り出すと知らせました。西日本や九州で納豆を食べる習慣が少ない理由を、公的な資料で確かめた物は見つかっていません。
世界の納豆と比べる
世界の仲間も、土地ごとに食べ方が分かれます。インド北東部では州や民族ごとに名前と包む葉が変わり、11種が並びます。地域で探すに、5つの地域の違いをまとめました。
出典
- 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」 https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html(データ: rank06.xlsx「納豆」)
- 農林水産省「うちの郷土料理 納豆汁 秋田県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_5_akita.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 納豆汁 山形県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nattojiru_yamagata.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 そぼろ納豆 茨城県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/soboronatto_ibaraki.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 きりざい 新潟県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kirizai_niigata.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 納豆餅 京都府」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nattomochi_kyoto.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 伝統餅料理 岩手県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_6_iwate.html
- 農林水産省「うちの郷土料理 馬刺し 熊本県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/basashi_kumamoto.html
- 横手市「平泉文化のルーツをめぐる旅(納豆伝説コース)」 https://www.city.yokote.lg.jp/kanko/1001533/1004053/1004490.html
- 水戸市「納豆のまち水戸」 https://www.city.mito.lg.jp/site/natto/75315.html
- 水戸市 納豆に関する取り組み https://www.city.mito.lg.jp/site/natto/75919.html
- 水戸市「水戸市納豆の消費拡大に関する条例」 https://www.city.mito.lg.jp/uploaded/attachment/43934.pdf
- 全国納豆協同組合連合会「納豆に関する調査」調査結果報告書(2025年6月) https://www.natto.or.jp/reseach/pdf/250612.pdf
- マルキン食品 お知らせ https://www.marukinfoods.co.jp/news
このページは、上の出典を開いて確かめ、2026年10月15日に書きました。家計調査は3年平均の順位で、1年だけの順位ではありません。
