五斗納豆を一言でいうと
ひきわり納豆に米麹と塩を混ぜ、もう一度発酵・熟成させる、山形県置賜地方(米沢市のあたり)の保存食です。納豆菌で1回、麹で2回目と、2度の発酵を経ます。農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」は、今の「雪割納豆」の元がこの五斗納豆だと書いています。
| どこで | 山形県の置賜地方(米沢市を中心とする地域) |
|---|---|
| 材料 | ひきわり納豆、米麹、塩 |
| 寝かせる | 昔は、正月に仕込んで春まで |
| 食べ方 | ご飯にのせる、おにぎりや茶漬けの具、酒の肴 |
| 今の商品 | 「雪割納豆」(株式会社ゆきんこ、米沢市) |
作り方: 冬にこたつで仕込み、春まで寝かせる
農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」によると、置賜の農家は、正月のこたつの温もりで発酵させたひきわり納豆に、米麹と塩を混ぜ合わせ、春まで長く寝かせていました。飢饉への備えとして、また4月・5月の農繁期に食べる保存食として、江戸時代から作られてきたと書かれています。
雪割納豆を作るゆきんこの説明では、豆を割って皮を飛ばし、煮た豆をわらに詰めて、こたつの暖かさでひきわり納豆を作ります。これに米麹と塩を混ぜて発酵・熟成させたものが、雪割納豆の原型だとしています。
「五斗」という名前
斗は、米や豆をはかる昔の単位です。名前のわけには、2つの説があります。
- 混ぜる量の説 — 地理学者の横山智は、大豆一石で作ったひきわり納豆に、塩五斗と麹五斗を混ぜたから、という説を紹介しています(2020年)。
- 樽の説 — 五斗入る樽で寝かせたから、という説。米沢の白布温泉の宿・西屋は、一斗は約18リットルで、昔は90リットルの樽で造っていたと書いています。
どちらが正しいかを決める記録は、このページを書いた時点では見つけられませんでした。
雪割納豆という名前と、作り手の交代
「雪割」は、降り積もった雪を割って雪解けを早める、雪国の早春の作業のことです。農林水産省の図鑑によると、雪割納豆は1956年に売り出された時に、この名前が付けられました。
2014年、作っていた「まるよね食品」が営業を終え、雪割納豆はいったん姿を消します。同じ年のうちに、地元の水産卸の佐野水産が新会社「ゆきんこ」を作り、まるよね食品の職人とともに作り方を引き継ぎました。今は、国産大豆・置賜産の米麹・天日塩の3つだけで作る「はじまりの雪割納豆」のほか、新潟県妙高の発酵調味料「かんずり」入りや、唐辛子入りの商品も出ています。
食べ方: 醤油をかけずに、少しずつ
- ご飯にのせる — できた時に塩味がついているので、醤油などを足さずにそのまま食べられます(横山智、2020年)。ゆきんこは、ご飯に少しずつのせ、大根おろしやねぎと合わせる食べ方を勧めています。
- おにぎり・茶漬けの具に — 農林水産省の図鑑に書かれている食べ方です。
- 酒の肴に — 卵黄と混ぜ、七味唐辛子や花かつおと一緒に食べる食べ方も、同じ図鑑に載っています。
世界の仲間と並べると
糸を引かせたあとに、塩や麹を足してもう一度寝かせ、長く持たせる。この順番は、中国湖南省の腊八豆(冬に塩・しょうが・唐辛子・酒を混ぜてもう一度寝かせる)や、糸を引いた豆を塩としょうがで瓶に漬ける水豆豉とも同じです。はじめから麹で作る浜納豆とは、最初に働く菌が違います。
出典
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 雪割納豆 山形県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/yukiwari_natto.html
- 株式会社ゆきんこ「会社概要」 https://yukinco.jp/about/
- 株式会社ゆきんこ「商品紹介」 https://yukinco.jp/product/
- 雪割納豆のお店 ゆきんこ(販売ページ) https://shop.yukinco.jp/
- ふるさとチョイス「雪割納豆 かんずり入り」(米沢市・株式会社ゆきんこ) https://www.furusato-tax.jp/product/detail/06202/5491407
- 横山智「第7回 東北の調味料納豆」『アジア・ニッポン納豆の旅』のう地(農文協プロダクション)2020年9月23日 https://knowchi.jp/archives/1272
- 白布温泉 湯滝の宿 西屋「米沢のいい所あれこれ【番外編:ゆきんこ「雪割納豆」】」2018年5月11日 https://nishiya-shirabu.jp/column/2018/05/495/
このページは、上の出典を開いて確かめ、2026年10月15日に書きました。
