ひきわり納豆を一言でいうと
大豆を割って皮を取り、それから煮て納豆にした物です。できた納豆を刻む「きざみ納豆」とは、割る順番が違います。全国納豆協同組合連合会(全納連)は、糸を引く納豆を「丸大豆納豆」「挽き割り納豆」「五斗納豆」の3つに分け、挽き割り納豆は「大豆を炒って荒く挽き、表皮を取り除いてから煮るのが特徴」と書いています。
作り方: 割ってから、すぐに水に浸ける
秋田県の納豆メーカー、ヤマダフーズの工場見学のページでは、最初の手順が「原料大豆を挽き臼で割る」で、次が水に浸ける手順です。割ると大豆の皮が取れ、皮がなくなると大豆の表面が空気にさらされて酸化しやすくなるので、割ったらなるべく早く次の手順に進むのが大事だ、と説明しています。
茨城県工業技術センターの研究報告は、昔からひきわり納豆は、焙った大豆をひき割って原料にしてきたと書いています。割った豆は、丸い豆に比べて、水に浸ける時間が温度に大きく左右される、とも書いています。
割りやすさは、大豆の形でも変わります。ヤマダフーズの山田伸祐社長は、長年の試しの結果、ラグビーボールのような形の品種を臼で割ると、ひきわりにできる量が最大7%ほど減ると話しています。そのため、なるべく球に近い形の大豆を望んでいるそうです。同社がひきわり用に使う大豆は、年に4,000トンです。
粒の納豆との違い
- 賞味期限が短い — ヤマダフーズは、割った断面の分だけ表面が広くなり、納豆菌が働く場所が増えて発酵が進みやすいので、ひきわりは粒の納豆より賞味期限が短くなる、と説明しています。
- 白い粒が出やすい — ミツカンは、納豆に出る白い粒(チロシンというアミノ酸)について、ひきわりは大豆を細かくしているので発酵が進みやすく、チロシンが出やすいと書いています。
- 選ぶ理由は食感 — 全納連の2025年の調査で、ひきわりを買う理由は「食感が好みだから」57.1%、「ごはんに混ざりやすいから」24.3%、「子どもや高齢者でも食べやすいから」と「価格が安いから」が12.3%でした。
好きな豆の大きさを聞いた同じ調査では、ひきわりと答えた人が2011年の5.3%から2023年の10.7%に増え、2025年は9.5%でした(粒の大きさのページに年ごとの表があります)。
北東北の納豆
全納連は、挽き割り納豆は青森・秋田・岩手などで江戸時代以前から作られていた、と書いています。どこで、いつ始まったかを示す記録は、このページを書いた時点では見つけられませんでした。
秋田の情報サイト「なんも大学」が2019年にヤマダフーズを訪ねた記事によると、秋田のスーパーの納豆売り場はひきわりの品ぞろえが多く、同社が1954年の創業の時に最初に売った納豆も、三角形の経木に包んだひきわり納豆でした。
ひきわりを使う料理
- 納豆汁(宮城県) — 農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」の宮城県の納豆のページに載る納豆汁(5人分)は、材料が、ひき割りの納豆100g、豆腐1/2丁、にんじん、だいこん、油揚げ、ねぎです。
- 雪割納豆(山形県) — ひきわり納豆に米麹と塩を混ぜて、もう一度寝かせた物です。もとは置賜の農家が作ってきた五斗納豆です。
世界の仲間と並べると
豆を割ってから寝かせる作り方は、ネパールのキネマにもあります。煮た大豆を軽くたたいて割り、灰を少し混ぜて、バナナの葉をかぶせた竹かごで一晩寝かせます。インド北東部メガラヤ州のトゥンリンバイも、大豆の皮をむいてから煮て、葉で包みます。
出典
- 全国納豆協同組合連合会 納豆PRセンター「糸引き納豆の分け方」 http://natto.or.jp/hyakka/ped_natto08.html
- ヤマダフーズ 工場見学「きざみ納豆の作り方」 https://www.yamadafoods.co.jp/kizaminatto/factory-tour/
- ヤマダフーズ「よくあるご質問」 https://www.yamadafoods.co.jp/question/
- 長谷川裕正「ひきわり納豆製造条件の検討」茨城県工業技術センター研究報告 第25号 https://www.itic.pref.ibaraki.jp/publication/doc/research/h8/N25P066.pdf
- 山田伸祐(ヤマダフーズ代表取締役社長)基調講演「国産大豆に望むこと」農林水産省東北農政局 大豆関連協議会資料 https://www.maff.go.jp/tohoku/seisan/daizu/kyougikai/pdf/mame_70_3.pdf
- ミツカン「よくあるご質問」(納豆) https://www.mizkan.co.jp/natto-information/faq/
- 全国納豆協同組合連合会「納豆に関する調査」調査結果報告書(2025年6月) http://natto.or.jp/reseach/pdf/250612.pdf
- なんも大学「ひきわりLOVE!〜納豆の聖地、ヤマダフーズへ〜」2019年7月17日 https://nanmoda.jp/2019/07/7371/
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 納豆 宮城県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/nattou_miyagi.html
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 雪割納豆 山形県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/yukiwari_natto.html
このページは、上の出典を開いて確かめ、2026年10月15日に書きました。体への効き目は書いていません。
