粒の大きさを一言でいうと
日本の納豆の「大粒」「小粒」は、納豆になる前の大豆の大きさの区分です。タカノフーズは、納豆を大粒・中粒・小粒・極小粒・超極小粒と、丸大豆を割ったひきわりに分けて説明しています。農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」は、宮城県の納豆について、大粒から中粒・小粒まで様々な種類がある、と書いています。
大きさの分け方: ふるいの目で決める
大豆の大きさは、丸い穴のふるいにかけて、どの目のふるいの上に残るかで分けます。ただ、何ミリから大粒と呼ぶかは、決める所によって違います。
| 農林水産省の規格 | 納豆組合 | ヤマダフーズ | |
|---|---|---|---|
| 大粒 | 7.9mm(品種により8.5mm・9.1mm) | 7.3mm以上 | 7.8mm以上 |
| 中粒 | 7.3mm | 6.4〜7.3mm未満 | 6.5〜7.8mm |
| 小粒 | 5.5mm | 5.8〜6.4mm未満 | 5.5〜6.5mm |
| 極小粒 | 4.9mm | — | 5.5mm以下 |
- 農林水産省の規格 — 「農産物規格規程」の大豆の区分で、数字はその大きさのふるいの上に残ることを示します。納豆専用ではなく、大豆一般の検査の規格です。
- 納豆組合 — 秋田県の納豆メーカー、ヤマダフーズの山田伸祐社長が、農林水産省東北農政局の会合の講演で話した分け方です。農水省の規格では5.5〜7.3mm未満がすべて小粒になると話しています。この分け方を書いた組合の文書は、このページを書いた時点では見つけられませんでした。
- ヤマダフーズ — 同社の「よくあるご質問」に載る、原料大豆の大きさの分け方です。
どの大きさが好まれているか
全国納豆協同組合連合会(全納連)の2025年6月の調査(2,000人)で、最も好きな豆の大きさは「小粒」35.9%、次が「中粒」23.0%、「特にこだわらない」14.9%、「極小粒」10.2%でした。同じ報告書には、2011年からの年ごとの数字が載っています。
| 年 | 極小粒 | 小粒 | 中粒 | 大粒 | ひきわり | こだわらない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2011年 | 12.5% | 38.9% | 24.1% | 6.9% | 5.3% | 12.3% |
| 2015年 | 8.7% | 36.7% | 25.9% | 7.5% | 7.8% | 13.3% |
| 2019年 | 11.9% | 36.4% | 24.8% | 6.7% | 8.3% | 11.8% |
| 2023年 | 11.3% | 36.3% | 23.2% | 5.2% | 10.7% | 13.3% |
| 2025年 | 10.2% | 35.9% | 23.0% | 6.5% | 9.5% | 14.9% |
15年近く、いちばん好まれているのは小粒です。ひきわりは、2011年の5.3%から2023年の10.7%まで増えました。
小さい粒が好まれるわけを、全納連は、ご飯の粒と納豆の粒の大きさの差が少ないので、ご飯にからみやすく口当たりが良いためと考えられる、と書いています。タカノフーズは、昭和40年代までは大きめの納豆が主流で、今は極小粒が人気だとし、その背景にご飯との混ぜやすさや食べやすさを挙げています。
一方で、大粒も伸びています。ミツカンは2017年、国産大粒の納豆を出した時のリリースで、国産の納豆の中で小粒とともに大粒の市場が伸びていると書き、大粒はご飯にかけるだけでなく、おかずにもなるとしています。
水戸の納豆が小粒なわけ
農林水産省の図鑑は「今でも水戸の納豆といえば小粒が特徴である」と書いています。茨城県の食の案内「茨城をたべよう」の説明では、そのわけは川の水害です。秋の台風の時期に那珂川があふれることが多かったため、水戸藩は台風の前に収穫できる早生(わせ)の大豆を作るよう勧めました。早生の大豆は粒が小さく、豆腐や味噌には向かなかったので、小さな大豆でもおいしく作れる納豆が注目された、としています。
その納豆が全国に知られたのは、1889年(明治22年)に小山と水戸のあいだに鉄道が通り、駅で売り出してからだと水戸市は書いています。水戸藩が早生の大豆を勧めたことを示す藩の記録は、このページを書いた時点では見つけられませんでした。
納豆用の大豆の品種
- 納豆小粒(なっとうしょうりゅう) — 茨城県が育てた納豆用の品種。2013年度(平成25年度)には、県内の大豆の作付けの38%を占めていました。
- スズマル — 北海道で育てられた品種で、納豆に加工しやすいとされています。ヤマダフーズは、北海道産のスズマルを小粒の納豆に使っていると話しています。北海道立総合研究機構は、スズマルによく似ていて、畑の害虫(ダイズシストセンチュウ)に強い納豆用の品種「中育69号」を案内しています。
- リュウホウ — ヤマダフーズは、秋田県産のリュウホウを、大粒・中粒・ひきわりの納豆や豆腐に使っていると話しています。
- コスズ、すずほのか、すずおとめ ほか — 農林水産省の規格の表には、小粒・極小粒の大豆として、県ごとの品種が並んでいます(岩手・宮城・福島のコスズとすずほのか、九州などのすずおとめ、山形のすずかおり など)。
世界の仲間と並べると
粒の大きさを選んで売るのは、日本の納豆の特徴です。世界の仲間には、粒を残さない物も多くあります。ネパールのキネマは、煮た大豆を軽くたたいて割ってから寝かせ、タイ北部のトゥアナオは、寝かせたあとにつぶして薄い円盤にします。日本で豆を割ってから作るのはひきわり納豆です。
出典
- 農林水産省「農産物規格規程」(平成13年農林水産省告示第244号、最終改正 平成25年告示第797号) https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0001439.html
- 山田伸祐(ヤマダフーズ代表取締役社長)基調講演「国産大豆に望むこと」農林水産省東北農政局 大豆関連協議会資料 https://www.maff.go.jp/tohoku/seisan/daizu/kyougikai/pdf/mame_70_3.pdf
- ヤマダフーズ「よくあるご質問」 https://www.yamadafoods.co.jp/question/
- タカノフーズ「粒の大きさで選ぶ」(2023年5月21日の写し・Internet Archive) http://web.archive.org/web/20230521230216/http://www.takanofoods.co.jp/products/search/size.php
- 全国納豆協同組合連合会「納豆ができるまで」 http://natto.or.jp/make/index.html
- 全国納豆協同組合連合会「納豆に関する調査」調査結果報告書(2025年6月) http://natto.or.jp/reseach/pdf/250612.pdf
- ミツカン ニュースリリース「くめ納豆 国産大粒 3P」2017年1月24日 https://www.mizkan.co.jp/company/news/detail/170124-00.html
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 納豆 宮城県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/nattou_miyagi.html
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑 納豆 茨城県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/natto_ibaraki.html
- 茨城県営業戦略部販売戦略課「茨城をたべよう 納豆」 https://www.ibaraki-shokusai.net/season/season_natto2014
- 水戸市「水戸の納豆とは?」(2024年7月10日更新) https://www.city.mito.lg.jp/site/natto/75315.html
- 茨城県工業技術センター研究報告 第43号「おいしい小粒納豆を造るための品種選抜システムの開発(第2報)」 https://www.itic.pref.ibaraki.jp/publication/doc/research/h26/vol43_10.pdf
- 北海道立総合研究機構「『スズマル』が線虫に強くなって新登場! 納豆用大豆『中育69号』」 https://www.hro.or.jp/upload/43916/suzumaru_r.pdf
このページは、上の出典を開いて確かめ、2026年10月15日に書きました。調査の数字は、全納連の報告書の表のとおりです。
