ウグバを一言でいうと
ナイジェリア南東部のイボの人々が作る、アフリカン・オイルビーン(Pentaclethra macrophylla)という木の種の発酵食品です。大きな種を長くゆでて細く切り、葉に包んで数日寝かせます。ウクパカとも呼ばれます。肉のような味がして、そのままごちそうとして食べるほか、スープの味付けにも使います。
| どこで | ナイジェリア南東部(イボの人々) |
|---|---|
| 何から | アフリカン・オイルビーン(マメ科の木)の種 |
| 寝かせる日数 | 葉に包んで約3日(72時間) |
| 主な菌 | Bacillus の仲間 |
| 食べ方 | キャッサバの細切りと和える「アバチャ」、スープの味付け |
食べ方: キャッサバの細切りと和える「アバチャ」
アフリカの料理を記録しているサイト「African Food Network」は、イボの料理「アフリカン・サラダ(アバチャとウグバ)」の作り方を載せています。アバチャは、ゆでたキャッサバを専用のおろし器で細く削り、一晩水につけてから天日で干した物です。この料理では、アバチャもウグバも火を通しません。パーム油をかん水(アカンウ)と練って黄色いペーストにし、そこへ材料を1つずつ混ぜていきます。
同じページによると、イボの結婚式では大事な客のために取っておく料理で、冷やしたヤシ酒と一緒に出すそうです。お腹がふくれる量でも、主食ではなく軽食として扱われます。冷たいままでも、少し温めてもよく、どちらにするかは家ごとの好みだと書いています。
材料
- アバチャ(干したキャッサバの細切り) 3つかみ
- ウグバ 2カップ
- 赤いパーム油 300ml
- 粉のかん水(アカンウ) 大さじ2
- 干し魚(さば・干し鱈など)
- 玉ねぎ 大1個(刻む)・中1個(輪切り)
- 干しえびの粉 大さじ4・固形スープの素 2個
- エフの種(カラバッシュ・ナツメグ)の粉 小さじ1
- オギリかイル(発酵させた調味料)
- ウタジの葉(刻む)
- ゆでて刻んだ牛の皮(ポンモ)
- なすの仲間「ガーデンエッグ」の実と葉
- 塩・粉唐辛子
作り方
- エフの種をいって皮をむき、ひく。牛の皮はゆでて小さく切る。干し魚は焼くか、もどして骨を取る
- アバチャを冷たい水につけてやわらかくし、ざるで水を切る。ウグバはぬるま湯ですすぐ
- かん水を水1カップほどに溶かす
- 鍋にパーム油を入れ、かん水の上ずみだけを注いで、黄色いペーストになるまでよく混ぜる(火にはかけない)
- 唐辛子・エフ・スープの素・干しえび・刻んだ玉ねぎ・ウグバを入れ、よく混ぜる
- オギリかイル、牛の皮、アバチャの順に1つずつ混ぜ、アバチャ全体にペーストをからめる
- ウタジの葉を混ぜ、塩は最後に味を見て入れる
- 冷たいまま、ガーデンエッグの葉を混ぜ、実・魚・輪切りの玉ねぎを添える。温める時は弱めの中火で温めてから葉を混ぜる
材料の「オギリ」と「イル」も、この図鑑に入っている発酵調味料です(オギリ、イル=ダワダワ)。1つの皿に、種の違う発酵食品が2つ入る料理です。
作り方の記録
2020年の論文(Avicenna Journal of Phytomedicine 誌)は、実験のためにウグバを作った手順を、次のように書いています(Isu と Ofuya の2000年のやり方を少し変えた物)。
- 種を12時間ゆでて、固い皮をやわらかくする。
- 皮から出した中身を細く切り、さらに4時間ゆでる。
- 水で4〜5回よく洗い、苦みを減らす。
- オクポピアと呼ばれる葉(Alchornea laxiflora)で包み、空気の通る袋に入れる。
- そのままの気温で発酵させ、3日後に使う。
2015年の論文(European Journal of Food Science and Technology 誌)は、包む葉の違いを比べました。種をゆでて皮を取り、切ってもう一度ゆで、洗って冷たい水に10時間ひたし、また洗ってから、料理用バナナ(プランテン)、ココヤム、オクポピアの3種類の葉で包み、72時間発酵させています。葉を1〜5枚に変えて比べたところ、食べた人たちの評価で一番よかったのは、オクポピアの葉を5枚重ねて包んだ物でした。
菌の研究
ナイジェリア大学の Obeta は1983年、ウグバの発酵にかかわる菌を調べました。1986年の Aidoo の総説は、Obeta がこのとき作り方をまとめ、主な菌は Bacillus の仲間だとした、と書いています(どちらも Soyinfo Center の要約)。Obeta の論文の要約は、ウグバを、主食にたんぱく質の少ないイボの人々にとって大事で安いたんぱく源と紹介し、この作り方はずっと昔からあると考えられているが、始まりは記録されていない、と書いています。
2020年の論文も、種付けをせずに発酵させ、アルカリ性の中で主に Bacillus の仲間が働くと、それまでの研究をまとめています。一方で、大腸菌や黄色ブドウ球菌、カビが見つかったという報告もあると書き、作り方がそろっていないことや、かかわる菌の顔ぶれから、安全や品質に問いが残るとしています。このサイトでは、体への効き目は書きません。
記録に残る、この木と人
2020年の論文によると、西アフリカの南の熱帯雨林、とくにナイジェリア東部で、約5000万人が、この木のいろいろな部分を、食べ物や炭づくりに使っています。種はゆでたり焼いたりして食べることもありますが、発酵させてから食べることの方が多いそうです。イボの人々の間で、この種のもっともよく知られた使い方がウグバです。
1986年の総説(Aidoo、Tropical Science 誌)は、この木が大きな町の道ばたによく植えられていて、実が熟すと黒いさやがはじけて、つやのある茶色の種が出てくる、と書いています(Soyinfo Center の要約)。
同じ西アフリカには、ほかの種から作る仲間もあります。ロカストビーンのダワダワ、メロンの種やヒマの種のオギリ、プロソピスの種のオクペイェ、ロゼルの種のビカルガです。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、アフリカの仲間の2つ目として、25番目に置いています。
出典
- AFN Snr Chef「African Salad (Abacha and Ugba)」African Food Network https://afrifoodnetwork.com/recipes/african-salad-abacha-ugba/
- Ugbogu ほか (2020) Evaluating bioactive constituents and toxicological effects of aqueous extract of fermented Pentaclethra macrophylla seeds in rats. Avicenna Journal of Phytomedicine 10(1):101. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6941688/
- Kabuo NO ほか (2015) Assessment of leaf-type and number of leaves used in wrapping on the quality of "Ugba" (fermented Pentaclethra macrophylla Benth seed). European Journal of Food Science and Technology 3(1). https://eajournals.org/ejfst/vol-3issue-1-march-2015/assessment-of-leaf-type-and-number-of-leaves-used-in-wrapping-on-the-quality-of-ugba-fermented-pentaclethra-macrophylla-benth-seed/
- Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.962 Obeta 1983、No.1186 Aidoo 1986 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
