オギリを一言でいうと
ナイジェリアで、油の多い種を発酵させて作る調味料です。よく使われるのは、スープの材料として知られるメロンの種(エグシ)で、ヒマ(トウゴマ)の種やゴマでも作ります。種をゆでて葉に包み、暖かい所で寝かせると、強いにおいのペーストになります。少しの量でスープの味を決める、うま味の素です。
| どこで | ナイジェリア(イボ、ヨルバの地域など) |
|---|---|
| 何から | メロンの種(エグシ)、ヒマの種、ゴマ |
| 寝かせる日数 | 3〜7日(記録により幅がある) |
| 主な菌 | Bacillus の仲間が見つかっている |
| 食べ方 | スープの味付けに |
食べ方: イボの苦い葉のスープ「オフェ・オヌグブ」に
ナイジェリアの料理サイト「9jafoodie」は、イボの人々のスープ「オフェ・オヌグブ」の作り方を載せています。オフェはイボ語でスープ、オヌグブは苦みのある葉ベルノニア(Vernonia amygdalina)のことです。肉と魚のだしに、ゆでてついたココヤム(タロイモの仲間)でとろみをつけます。このスープの独特の味は、葉とオギリから来ると書いています。
材料
- 下ゆでした肉(牛・やぎ・胃袋・かたつむりなど、好みで)
- 干し鱈と燻製の魚 2〜3切れ(湯でもどす)
- 干しえびの粉 1/4カップ
- 洗った苦い葉(生でも干した物でも) 1/2カップ
- 小さなココヤム 6個(皮をむいて洗う)
- パーム油 1/4〜1/2カップ
- オギリ 大さじ2〜4
- 粉唐辛子・固形スープの素・塩
作り方
- 干した葉を使う時は、湯につけてやわらかくしておく
- ココヤムを中火でやわらかくなるまでゆで、ついてペーストにする
- 鍋に肉と魚を入れ、水2カップ、スープの素・塩・唐辛子・干しえびを加えて15分煮る
- ココヤムのペースト、オギリ、パーム油を入れ、よく混ぜてペーストを溶かし、5分煮る(薄めが好みなら水を足す)
- 水を切った葉を入れて混ぜ、味をみて5分煮る
- ついたヤムいも、フフ、ガリ(キャッサバの粉を練った物)と一緒に
同じページには、葉をオハの葉に替えると「オハのスープ」、オカジの葉に替えると「オフェ・オウェリ」になる、とも書いてあります。英語版ウィキブックスの同じスープの作り方は、オギリを大さじ1とし、イル(ロカストビーンの発酵調味料)でもよい、入れなくてもよい、としています。家や作り手によって、オギリの扱いが違うことが分かります。
作り方の記録
2025年の論文(Preventive Nutrition and Food Science 誌)は、メロンの種のオギリの、ふつうの作り方を次のようにまとめています。
- メロンの種をゆでて、薄い皮を取る。
- もう一度ゆでて、種をやわらかくする。
- 葉に包んで、3〜7日発酵させる。
- その間は、日なたや火のそばに置いて暖かく保つ。
同じ論文によると、ナイジェリア南部では、種をゆでる時にイカキナ(Icacina trichantha)やニューボウルディア(Newbouldia laevis)の葉を一緒に入れます。作り手たちは、葉が好ましい風味を足し、発酵中や保存中にうじがわくのを防ぐと言いますが、そのことを確かめた研究はまだない、と論文は書いています。研究では、ゆでた種をタウマトコックス(Thaumatococcus daniellii)の葉に包み、約38℃で120時間(5日)発酵させ、50℃で6時間干しました。
2021年、ナイジェリアのマイケル・オクパラ農業大学の研究(Okwuonu)は、メロンの種・ヒマの種・ゴマからそれぞれオギリを作り、バナナの葉とアルミホイルで包んで比べました。種の皮を取ってゆで、包んでから発酵させています。食べた人たちの評価には、包み方による差が出ませんでした。
菌の研究
1986年の総説(Aidoo、Tropical Science 誌)は、オギリを西アフリカで作られ食べられている、スイカの種を発酵させた物として紹介し、Odunfa の1981年の報告を引いて、発酵の始めには Bacillus の仲間が、後半にはプロテウスや大腸菌の仲間が多くなると書いています(Soyinfo Center の要約)。同じ総説は、ナイジェリアのオギリは値の高い調味料だが、質にむらがあり、日持ちしないとも書いています。
2025年の論文は、自分たちで作ったオギリから枯草菌(Bacillus subtilis)、コリネバクテリウムの仲間、乳酸菌の仲間、黄色ブドウ球菌を見つけています。2021年の研究でも、一番多かったのは Bacillus の仲間でした。このサイトでは、体への効き目は書きません。
「オギリ」という名前の幅
オギリという言葉が指す物は、資料によって違います。
- 1985年のつくばの会議で、オドゥンファは「オギリ・イボ」をヒマの種から作る物と紹介しました(Soyinfo Center の要約)。
- 1986年のオドゥンファの本の章は、ロカストビーンのダワダワを、イボ語では「オギリ・イガラ」と呼ぶと書いています(Soyinfo Center の要約)。
- 1989年の Abbey ほかの章は、アフリカン・オイルビーンの種(ウグバの原料)を、イボ語で「ウバ」や「オギリ」とも呼ぶ、と書いています(Soyinfo Center の要約)。
- 9jafoodie のスープの作り方は、オギリを「発酵させたかぼちゃの種」と説明しています。
原料のエグシも、学名がはっきり決まっていません。2025年の総説(Frontiers in Plant Science 誌)は、研究によって、スイカと同じ Citrullus lanatus とするもの、Citrullus mucosospermus とするもの、Cucumeropsis mannii とするものがあり、意見がそろっていないと書いています。同じ総説の表には、エグシを発酵させて地元のスパイス「オギリ・エグシ」にする使い方が載っています。
同じ西アフリカには、ほかの種から作る仲間もあります。ロカストビーンのダワダワ、アフリカン・オイルビーンのウグバ、プロソピスの種のオクペイェ、ロゼルの種のビカルガです。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、アフリカの仲間の3つ目として、26番目に置いています。
出典
- 9jafoodie「Ofe Onugbu (Bitter Leaf Soup) Recipe」 https://9jafoodie.com/ofe-onugbu-bitter-leaf-soup/
- Wikibooks「Cookbook:Ofe Onugbu (Bitter Leaf Soup)」 https://en.wikibooks.org/wiki/Cookbook:Ofe_Onugbu_(Bitter_Leaf_Soup)
- Oladeji ほか (2025) Enhancing the Nutritional and Microbiological Properties of Fermented Melon Condiment (Ogiri) Using Newbouldia laevis and Icacina trichantha Leaves. Preventive Nutrition and Food Science 30(3):285. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12213246/
- Okwuonu UP (2021) Micro Flora Of Ogiri Made From Sesame Seed, Melon Seed And Castor Bean Seeds Stored With Different Packaging Materials. Michael Okpara University of Agriculture.(要旨のみ確認) https://repository.mouau.edu.ng/works/micro-flora-of-ogiri-made-from-sesame-seed-melon-seed-and-castor-bean-seeds-stored-with-different-packaging-materials-7-2
- Anwar ほか (2025) Unlocking the potential of 'Egusi' melon (Colocynthis citrullus L.) as a crop for biotechnological improvement. Frontiers in Plant Science 16:1547157. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11965695/
- Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.1173 Odunfa 1986、No.1186 Aidoo 1986、No.1194 Odunfa 1986、No.1299 Abbey ほか 1989 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
