オクペイェを一言でいうと
ナイジェリアの中部から南東部で作られる、アフリカン・メスキート(Prosopis africana)というマメ科の木の種を発酵させた調味料です。オクペヘ、クパイェとも呼ばれます。ゆでて皮をむいた種を、葉を敷いたかごで日なたに置いて発酵させ、形を整えて干します。黒っぽく、においの強い仕上がりです。
| どこで | ナイジェリアの南東部・中北部(イドマ、イガラの人々など) |
|---|---|
| 何から | アフリカン・メスキート(マメ科の木)の種 |
| 寝かせる日数 | 日なたで6〜8日 |
| 主な菌 | Bacillus の仲間 |
| 食べ方 | スープの味付けに |
食べ方: イドマの人々のねばるスープ「オコホ・スープ」に
ナイジェリアの新聞『Daily Trust』は2024年、ベヌエ州のイドマの人々のスープ「オコホ・スープ」を取り上げました。オコホという木の茎から出るぬめりで、オクラのスープのようにねばる一皿です。州都マクルディの料理店で働くペイシェンス・オニェチェ・アウドゥさんが、作り方を語っています。その中で、唐辛子と一緒につくのが「ロカストビーン(オクペヘ)」です。
材料
- オコホの茎
- オクペヘ
- 唐辛子
- 干し魚
- ひいたメロンの種(エグシ)と卵
- 野生動物の肉や、干し鱈、いろいろな肉(好みで)
- そのほかの調味料(パーム油は入れても入れなくてもよい)
作り方
- オコホの茎をナイフでこそげ、すりこぎでたたいて筋にほぐし、束にしばる
- 束を熱い湯につけてふたをし、しばらく置いてから、湯の中でしぼってぬめりを出し、取っておく
- 唐辛子とオクペヘを一緒につき、火にかけた鍋の湯に入れる
- 煮立ったら干し魚を入れ、ひいたメロンの種を卵と混ぜて小さな団子にして入れ、ほかの調味料を足してしばらく煮る
- かき混ぜる時に崩れないよう、団子・魚・肉をいったん取り出す
- 鍋を火から下ろしてから2のぬめりを注ぎ、小さなほうきの束でよく混ぜる
- ついたヤムいもや、ヤムいもの粉を練ったアマラと一緒に
アウドゥさんは、エグシの団子づくりに手間がかかり、オコホの筋は指でつまんで食べるので慣れないと難しい、とも話しています。店では、イドマの人だけでなく、ティヴやヨルバの客にも人気だそうです。
この記事では、オクペヘを「ロカストビーン」と言いかえています。ロカストビーンは、ふつうはダワダワの原料になるパルキアの木の種を指す言葉で、オクペヘの木とは別の木です。
作り方の記録
2024年の論文(Heliyon 誌)は、オクペイェの昔ながらの作り方を、次のようにまとめています。作るのは主に家の小さな作り手で、地元の市場で売られます。
- 種をより分けて、やわらかくなるまでゆでる。
- 指先で皮をむき、余分な水気が飛ぶまでもう一度温める。
- 「オクペイェの葉」と呼ばれる葉を敷いたかごに入れ、上も葉でおおう。
- 日なたに6〜8日置いて発酵させる。
- 発酵した種を形にまとめ、すっかり干す。
菌の研究
同じ2024年の論文は、ナイジェリア南東部のアナンブラ州とイモ州の6つの市場でオクペイェを買い、菌を調べました。すべての市場の物から見つかり、もっとも多く出てきたのは、Bacillus amyloliquefaciens とブドウ球菌の仲間(Staphylococcus simulans)でした。食中毒を起こすことがあるセレウス菌(Bacillus cereus)も、すべての市場の物から見つかっています。論文は、作り手に、体と仕事場を清潔に保つことを伝える大切さを書いています。
英語版ウィキペディアは、この木の種から作る調味料(オクペイェ、クパイェ、ダッダワ)から、枯草菌(Bacillus subtilis)や B. licheniformis などが見つかっていると書いています。このサイトでは、体への効き目は書きません。
名前のこと
英語版ウィキペディアによると、「オクペヘ」は、ベヌエ州のイドマとイガラの人々が、この木と、その種を発酵させた物の両方に使う名前で、オクペイェやオクピイェは、そこから分かれた呼び方です。木の学名は、今は Anonychium africanum とされ、Prosopis africana はその別名として扱われています。
同じ西アフリカには、ほかの種から作る仲間もあります。ロカストビーンのダワダワ、アフリカン・オイルビーンのウグバ、メロンの種やヒマの種のオギリ、ロゼルの種のビカルガです。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、アフリカの仲間の4つ目として、27番目に置いています。
出典
- Hope Abah「Okoho soup: Blend of tasty Idoma cuisine and identity」Daily Trust(2024年9月7日) https://dailytrust.com/okoho-soup-blend-of-tasty-idoma-cuisine-and-identity/
- Agunwah IM ほか (2024) Microbiological evaluation of the indigenous fermented condiment okpeye available at various retail markets in the south-eastern region of Nigeria. Heliyon 10(3):e25493. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10865259/
- Wikipedia "Anonychium" https://en.wikipedia.org/wiki/Anonychium
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
