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Region · 5種

西アフリカの納豆

材料は大豆ではなく、木や草の種。長く煮て、葉に包んで寝かせ、スープのうま味の土台にします。

西アフリカの納豆。本の地域挿絵

西アフリカの5種を一言で

西アフリカでは、マメ科の木の種や、メロン・ロゼルの種を発酵させて、においの強い調味料を作ってきました。作り方は、長く煮る、皮を取る、葉で包むか葉を敷いて寝かせる、という流れで、働く菌も枯草菌(Bacillus subtilis)の仲間が中心です。材料は違っても、作り方も菌も納豆に近い仲間です。

ダワダワアフリカン・ロカストビーン(Parkia biglobosa)の種。ナイジェリアのヨルバ語ではイル、ブルキナファソとマリではスンバラ、セネガルではネテトウ
ウグバアフリカン・オイルビーン(Pentaclethra macrophylla)の種。ナイジェリア南東部のイボの人々。細く切って葉で約3日
オギリメロンの種(エグシ)、ヒマの種、ゴマ。ナイジェリア。葉に包んで3〜7日
オクペイェアフリカン・メスキート(Prosopis africana)の種。ナイジェリアの中部から南東部。日なたで6〜8日
ビカルガロゼル(Hibiscus sabdariffa)の種。ブルキナファソなど。ついて小さな玉にし、蒸して干す

食べ方: スープとソースに、少しずつ

5種とも、料理の主役ではなく、スープやソースの味を決める調味料として使われます。

  • 青菜の煮込み「エフォ・リロ」に — 米国の料理誌『Saveur』は、ヨルバの家庭料理として、赤ピーマン・トマト・唐辛子と青菜を煮込み、イル(発酵させたロカストビーン)でうま味とこくを足す作り方を載せています。
  • キャッサバの細切りと和える「アバチャ」に — 料理サイト「African Food Network」によると、イボの料理アフリカン・サラダでは、アバチャもウグバも火を通さず、パーム油とかん水を練ったペーストに混ぜていきます。イボの結婚式では、大事な客のために取っておく料理だそうです。
  • 苦い葉のスープ「オフェ・オヌグブ」に — ナイジェリアの料理サイト「9jafoodie」は、このスープの独特の味は、苦みのある葉とオギリから来ると書いています。
  • ねばるスープ「オコホ・スープ」に — ナイジェリアの新聞『Daily Trust』(2024年)によると、ベヌエ州のイドマの人々は、木の茎のぬめりでねばるこのスープに、唐辛子と一緒についたオクペヘを入れます。
  • 綿の種のソース「ゴルビス・ジンド」に — 西アフリカの農民団体の連合 ROPPA の女性部会の料理集は、ブルキナファソ北部のこのソースを載せています。ビカルガをゆでて汁を取り、同じ鍋にスンバラも入れます。2つの発酵調味料を1つの料理に使う例です。

作り方: かたい種を、長く煮る

記録を並べると、どの作り方も、煮る時間が長いのが目立ちます。

  • ダワダワ — 種を24時間以上ゆで、かたい皮をむいてもう一度1〜2時間ゆで、25〜35℃のまま24〜72時間発酵させる。作るのは村の女性たちの仕事(2024年の論文)。
  • ウグバ — 種を12時間ゆでて皮をやわらかくし、中身を細く切ってさらに4時間ゆで、葉に包んで約3日(2020年の論文)。
  • オギリ — メロンの種をゆでて薄い皮を取り、もう一度ゆでて、葉に包んで3〜7日。日なたや火のそばで暖かく保つ(2025年の論文)。
  • オクペイェ — ゆでて皮をむき、葉を敷いたかごに入れ、日なたで6〜8日(2024年の論文)。
  • ビカルガ — ブルキナファソの15か所の作り手を回った2008年の論文が、長くゆでて発酵させ、ついて小さな玉にし、蒸してから干す作り方を記録した。作るのは主に女性で、作り手の収入にもなる。

同じブルキナファソでは、バオバブの種を約36時間ゆでて作るマーリも、ビカルガとよく似た作り方です。

働く菌と、気をつける菌

2008年の研究は、ブルキナファソの各地のビカルガから70の菌を取り出し、もっとも多いのが枯草菌(42)、次が B. licheniformis(16)だと報告しました。ナイジェリアのオクペイェを6つの市場で買って調べた2024年の研究では、B. amyloliquefaciens とブドウ球菌の仲間が多く、食中毒を起こすことがあるセレウス菌(B. cereus)も、すべての市場の物から見つかりました。論文は、作り手に、体と仕事場を清潔に保つことを伝える大切さを書いています。このサイトでは、体への効き目は書きません。

記録に残った順に

  • 1981年 — Odunfa が、オギリの発酵の始めには Bacillus の仲間が多いと報告した(1986年の Aidoo の総説が引用。Soyinfo Center の要約)。
  • 1983年 — ナイジェリア大学の Obeta が、ウグバの発酵にかかわる菌を調べた。要約は、作り方はずっと昔からあると考えられているが、始まりは記録されていないと書いている。
  • 1985年 — 茨城県つくば市の「無塩発酵大豆のアジアシンポジウム」で、Odunfa が西アフリカの納豆に似た食べ物を発表した。ダワダワは枯草菌による発酵食品だと紹介している。
  • 1986年 — Odunfa が、毎年約25万トンのロカストビーンから約17万トンのダワダワが作られ、西アフリカで1億人を超える人が食べていると書いた(Soyinfo Center の要約)。
  • 2008年 — ビカルガの作り方と菌を記録した論文が、同じ年に2本出た。
  • いま — 国連食糧農業機関(FAO)の資料は、セネガルの町で、広告の強い工場製の固形スープの素にネテトウが置きかえられることがあり、ペースト・粉・キューブにして透明な袋に密封した新しいネテトウが作られたと書いている。

出典

  1. Tola Akerele「Efo Riro (Nigerian Stewed Greens)」Saveur(2022年3月3日更新) https://www.saveur.com/recipes/efo-riro-recipe/
  2. Masters ほか (2024) Protein Quality of African Locust Bean—A High-Value Gathered Tree Food Contributing Protein and Palatability to Plant-Based Diets. International Journal of Food Science 2024:1596212. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11371448/
  3. FAO「Agroforestry parklands in sub-Saharan Africa」第2章 https://www.fao.org/4/x3940e/X3940E03.htm
  4. AFN Snr Chef「African Salad (Abacha and Ugba)」African Food Network https://afrifoodnetwork.com/recipes/african-salad-abacha-ugba/
  5. Ugbogu ほか (2020) Evaluating bioactive constituents and toxicological effects of aqueous extract of fermented Pentaclethra macrophylla seeds in rats. Avicenna Journal of Phytomedicine 10(1):101. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6941688/
  6. 9jafoodie「Ofe Onugbu (Bitter Leaf Soup) Recipe」 https://9jafoodie.com/ofe-onugbu-bitter-leaf-soup/
  7. Hope Abah「Okoho soup: Blend of tasty Idoma cuisine and identity」Daily Trust(2024年9月7日) https://dailytrust.com/okoho-soup-blend-of-tasty-idoma-cuisine-and-identity/
  8. Agunwah IM ほか (2024) Microbiological evaluation of the indigenous fermented condiment okpeye available at various retail markets in the south-eastern region of Nigeria. Heliyon 10(3):e25493. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10865259/
  9. ROPPA 女性部会『De la terre à la table : L'Afrique de l'Ouest et ses trésors culinaires』「Sauce graine de coton (Gorbiss Zindo)」(2024年) https://www.alimenterre.org/system/files/2024-10/RECETTES%20CUISINE%20version%20revue.pdf
  10. Parkouda C, Diawara B, Ouoba LII (2008) Technology and physico-chemical characteristics of Bikalga, alkaline fermented seeds of Hibiscus sabdariffa. African Journal of Biotechnology 7(7):916-922. https://www.ajol.info/index.php/ajb/article/view/58575
  11. Ouoba LII ほか (2008) Identification of Bacillus spp. from Bikalga, fermented seeds of Hibiscus sabdariffa: phenotypic and genotypic characterization. Journal of Applied Microbiology 104(1):122-131. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17922831/
  12. Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(Odunfa 1981・1985・1986、Obeta 1983、Aidoo 1986 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151

このページは、各納豆のページで開いて確かめた出典から、2026年10月15日にまとめました。料理・製法は記録の紹介です。

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