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Region · 5種

東アジアの納豆

ご飯にのせる、チゲに溶かす、調味料にする。同じ煮た大豆から、5つの食べ方が分かれていきます。

東アジアの納豆。本の地域挿絵

東アジアの5種を一言で

日本・朝鮮半島・中国には、煮た大豆を細菌で発酵させる食べ物が、少なくとも5つあります。どれも大豆が材料で、枯草菌(Bacillus subtilis)の仲間が働きます。分かれ目は、塩を入れるかどうか、入れるならいつか。そして、豆をおかずにするか、調味料にするかです。

日本の納豆塩なし。一晩ほどで糸を引かせ、ご飯にのせる。山形では、すりつぶして冬の汁にもする
チョングッチャン韓国。塩なしで2〜3日。豆を溶かして煮込む汁(チゲ)のことを、この名前で呼ぶことが多い
細菌型の豆豉中国。発酵の途中で塩を入れる。たくさんは食べず、炒め物や蒸し物の味付けに少し使う
水豆豉中国の西南部。糸を引いた豆に塩・しょうが・唐辛子を混ぜ、汁ごと瓶に漬ける
腊八豆中国・湖南省。冬に、塩・しょうが・唐辛子・酒を混ぜてもう一度寝かせる

食べ方で並べると

豆をそのまま食べる料理と、料理の味を作る調味料として使う料理の両方があります。

  • ご飯にのせる・汁にする — 日本の納豆。農林水産省の「うちの郷土料理」は、山形県の冬の家庭料理として、納豆をすり鉢ですりつぶして入れる納豆汁を紹介しています。
  • キムチと煮込む — チョングッチャン。煮干しと昆布のだしに、古漬けのキムチ・豆腐・野菜と一緒に溶かし込む「チョングッチャン・チゲ」が代表です。
  • 少しだけ、味の素に — 細菌型の豆豉。スペアリブを豆豉と唐辛子で蒸す料理(豉椒排骨)や、麻婆豆腐の材料の1つとして使われます。塩が強いので、軽く水で洗ってから使うこつもあります。
  • おかゆに添える・豚肉と炒める — 水豆豉。四川にルーツを持つ書き手は、子どものころ父親の好物だった食べ方として書き残しています。日本の納豆を種にして作る方法も紹介しています。
  • ご飯が進む炒め物に — 腊八豆。湖南料理の連載は、豚肉と炒める料理を「最も代表的で、手軽な」食べ方としています。干した魚や肉と一緒に蒸すこともあります。

塩を入れる時で並べると

作り方の記録を並べると、塩の入れ方が4通りに分かれます。

  1. 塩を入れない: 日本の納豆、チョングッチャン(チョングッチャンは、糸が出てから大根・粉唐辛子・塩を混ぜて、もう一度寝かせることがある)
  2. 発酵の途中で塩を入れる: 細菌型の豆豉
  3. 発酵の後で、塩と香辛料に漬ける: 水豆豉(1986年の記録では、刻んだしょうがと塩を混ぜて瓶で1週間)
  4. 2回目の発酵の前に、塩・酒を混ぜる: 腊八豆

英語版ウィキペディアは、豆豉は塩が強いので、納豆やテンペと違って調味料としてだけ使い、たくさん食べる物ではないと書いています。

記録に残った順に

  • 紀元前165年ごろ — 中国南部の馬王堆1号漢墓に、名前を書いた豆豉が納められていた(英語版ウィキペディア「Douchi」)。墓が開けられたのは1972年。
  • 紀元前90年 — 司馬遷の『史記』に、塩辛い発酵大豆が大事な品物として出てくる(同)。
  • 1894年 — 東京帝国大学の矢部規矩治が、英語で日本の納豆の作り方と成分を書いた。大豆を5時間ゆで、わらで包み、温めた地下の室に24時間。Soyinfo Center は、作り方を詳しく書いた最も古い英語の文書としている。
  • 1905年 — 沢村真が、1種類だけで良い納豆を作れる菌を取り出し、Bacillus natto と名付けた(論文は1906年)。
  • 1919年 — 北海道大学の半澤洵が、わらの代わりに容器で作る方法を広める会を作った。今の容器入りの納豆は、この流れの先にある。
  • 1986年 — 米国農務省の研究所の Wang と Fang が、中国の発酵食品の歴史をまとめ、細菌で作る豆豉として水豆豉の作り方を書いた。Soyinfo Center は2012年1月の時点で、水豆豉に触れた文書をこれ1つしか見ていない。

チョングッチャンと腊八豆の、いちばん古い記録は、このページを書いた時点では確かめられていません。チョングッチャンについては、韓国の国立民俗博物館の百科事典が「作るのは冬だったが、今は1年中食べられている」と書いています。

あわせて読む

日本の中の納豆の違い(粒・ひきわり・五斗納豆・干し納豆)は日本の納豆に、塩を入れて麹で作る大豆の発酵食品(味噌・醤油・テンジャン)は納豆と比べるにまとめています。

出典

  1. 農林水産省「うちの郷土料理 納豆汁 山形県」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nattojiru_yamagata.html
  2. ZenKimchi「Cheonggukjang Jjigae–Revisited」 https://zenkimchi.com/top-posts/cheonggukjang-jjigae-revisited/
  3. 국립민속박물관『한국민속대백과사전』"Cheonggukjang" https://folkency.nfm.go.kr/EN/topic/detail/8082
  4. Wikipedia "Douchi" https://en.wikipedia.org/wiki/Douchi
  5. Omnivore's Cookbook "Fermented black beans (豆豉, Dou Chi)" https://omnivorescookbook.com/pantry/fermented-black-beans
  6. Dear Juneberry "Sui Dou Chi 水豆豉 (Brined Fermented Soy Beans)" 2018年4月20日 https://dearjuneberry.com/2018/04/20/sui-dou-chi-brined-fermented-soy-beans/
  7. 鞭神老師「湘菜兵法全攻略(中)」関鍵評論網 https://www.thenewslens.com/article/85603
  8. Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.35 Yabe 1894、No.1178 Takao 1986、No.1201 Wang & Fang 1986 の要約と年表) https://www.soyinfocenter.com/books/151

このページは、各納豆のページで開いて確かめた出典から、2026年10月15日にまとめました。料理・製法は記録の紹介です。

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