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The Atlas · 東南アジア山地

シエン

カンボジア|東南アジア山地の納豆

シエンを一言でいうと

カンボジアの大豆の発酵食品です。ゆでた大豆を竹かごで2日ほど寝かせ、そのあと塩水に漬けます。発酵させた豆を、そのあと塩水に漬け込むところが特徴です。塩とスパイスと合わせて、味付けに使います。

どこでカンボジア
何から大豆・塩水
寝かせる日数竹かごで2日、そのあと塩水に5〜7日
主な菌2023年に、菌の遺伝子を調べた論文があります(下の「菌の研究」)
食べ方塩・スパイスと合わせて味付けに

食べ方: 塩漬けの発酵大豆を、魚のフライとしょうがに

カンボジアのタケオで民泊を営むリンダ・メアスさんが、旅のブログ「Mitzie Mee」に家庭料理「トレイ・チエン・チュオン」の作り方を寄せています(2023年)。カリッと揚げた魚に、塩漬けの発酵大豆としょうがを合わせた一皿で、発酵大豆が香りと塩気を足す役です。スープ、白いご飯、にんにくと唐辛子のたれと一緒に食卓に出すそうです。

材料(4人分)

  • しょうがの細切り 2カップ
  • 白身の魚 約450g(1ポンド)
  • 天ぷら粉 大さじ2
  • 揚げ油 1〜2カップ
  • にんにく 4かけ
  • 塩漬けの発酵大豆 1びん(850g)
  • 砂糖 大さじ1/4〜1/2(豆がとても塩辛い時)
  • 水 1/2カップ
  • 青ねぎ 2〜3本

作り方

  1. しょうがをたっぷりの油で、きつね色で少しカリッとするまで揚げ、取り出しておく
  2. 魚を細長く切り、天ぷら粉をごく薄くまぶし、同じ油できつね色にカリッと揚げる
  3. にんにくをつぶして刻み、青ねぎも刻む
  4. 大豆をざるにあげる。とても塩辛い塩水に漬かった物なら、水で洗ってから使う
  5. 深い鍋に油大さじ1を入れ、にんにくを少し色づくまで炒める。大豆を入れて数分炒め、塩辛ければ砂糖を足す
  6. 水を入れて1分炒め、出す直前に、揚げたしょうが・青ねぎ・魚を混ぜる。白いご飯と

メアスさんが使っているのは、店で買える、びん詰めの塩漬け大豆です。このびんの中身が、下で紹介する昔ながらのシエンと同じ作り方の物かどうかは、出典からは分かりません。カンボジアには、なすの炭火焼きとひき肉を発酵大豆と一緒に炒める「チャー・トロップ」という料理もあります(英語版ウィキペディア)。

作り方の記録

Soyinfo Center は、2010年に出た本(Nagai と Tamang の章、『Fermented Foods and Beverages of the World』)にあるシエンの作り方を、次のようにまとめています。

  1. 大豆を一晩水につけ、水を切ってゆでる。
  2. 浅い竹かごに広げ、かごや空気中の細菌で、2日間そのまま発酵させる。
  3. すぐに塩水に移し、5〜7日漬ける。塩水に木の樹液や酵素を足すこともある。
  4. 塩やスパイスと合わせて、味付けに使う。

「シエン」という名前の幅

シエンという言葉は、資料によって指している物が少しずつ違います。

  • 1952年、フランス語の本(Petelot『カンボジア・ラオス・ベトナムの薬用植物』)は、大豆そのもののカンボジアでの呼び名を「Sandek sieng」と記録しています(Soyinfo Center の要約)。
  • 1986年、民族学者の吉田集而は、発酵させた黒豆の仲間を並べた図の中で、カンボジアの「seang」を、日本の大徳寺納豆や上ビルマの「ペ・ンガピ」と同じ、塩を加えて干しぶどうのように固くした物の段に置きました(Soyinfo Center の要約)。
  • 2010年の本は、上の作り方のとおり、竹かごで発酵させてから塩水に漬ける物としています。
  • 英語版ウィキペディアの「豆豉(Douchi)」の項は、カンボジアでは豆豉も「seang(塩漬けの発酵豆)」と呼ばれ、魚の発酵食品プラホックと一緒によく使われると書いています。

Soyinfo Center は、「Sieng」というつづりで、カンボジアの納豆の近い仲間を取り上げた最も古い資料を、2008年の『納豆の科学』(木内幹・永井利郎・木村啓太郎 編)の田中の項としています(2012年1月時点)。

菌の研究

2023年、Tamang ほか(カンボジアの研究者 Sopheap Ek を含む)が、シエンの菌の遺伝子をまとめて読んだ論文を Food Bioscience 誌に出しています。この論文は、題名と著者だけを確かめ、本文は開けませんでした。そのため、このページには論文の結果を書いていません。

本では

本『世界の納豆アトラス』では、東南アジアの仲間の1つとして、23番目に置いています。

出典

  1. Linda Meas(Meas Family Homestay)「Cambodia Recipe: Crispy fried fish with ginger and fermented soybeans (trey chien chuon)」Mitzie Mee(2023年2月2日) https://mitziemee.com/recipe-cambodian-fried-fish-ginger-fermented-soybeans/
  2. Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.311 Petelot 1952、No.1181 Yoshida 1986、No.1877 Tanaka 2008、No.1907 Nagai & Tamang 2010 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
  3. Tamang JP, Kharnaior P, Das M, Ek S, Thapa N (2023) Metagenomics and metagenome-assembled genomes analysis of sieng, an ethnic fermented soybean food of Cambodia. Food Bioscience 56:103277.(題名と著者のみ確認) https://doi.org/10.1016/j.fbio.2023.103277
  4. Wikipedia "Douchi" https://en.wikipedia.org/wiki/Douchi
  5. Wikipedia "Chha trob" https://en.wikipedia.org/wiki/Chha_trob

このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。

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