ベカンを一言でいうと
インド北東部のミゾラム州で、ミゾの人々が作る発酵大豆です。「ベカン・ウム」とも呼ばれます。煮た大豆を葉で包み、炉の近くで2〜4日。糸を引き、アンモニアのにおいがして、地元の人はそのにおいを好みます。市場ではミゾの女性たちが売り、暮らしの支えにしています。
| どこで | インド・ミゾラム州 |
|---|---|
| 何から | 小粒の大豆 |
| 主な菌 | Bacillus subtilis ほか |
| 食べ方 | そのまま・塩と青唐辛子とトマトのカレー |
| 包む物 | 「ヌフラン」「フナティアル」の葉、バナナの葉 |
食べ方: 塩・青唐辛子・トマトのカレー
シッキム大学の Tamang の2015年の総説によると、ベカンはそのまま食べるか、塩・青唐辛子・トマトを加えてカレーにし、ご飯の添え物にします。
母から娘へ: バナナの葉で包む
インドの食のオンライン誌「On Eating」の2023年11月号に、ミゾの家庭で育った Lalhriatzuali Bungsut さんが、母親とベカン・ウムを作る台所の様子を書いています。
- 圧力鍋で煮た大豆を、バナナの葉を敷いた深い箱に湯気ごと広げる
- 重曹を振り、葉を折り返して豆を覆い、上にもバナナの葉をのせる。2人の手4本で押さえる
- 包みをオーブンの上など温かい所に置き、毛布と古いバスローブをかけて2〜3日
- 出来たベカン・ウムはスプーンですくってバナナの葉にのせ、ひもで縛って小分けにする
母親は「私の年の女性でも、もう作り方を知らない人が多い」と言っていたそうです。書き手が育った米国カリフォルニアのバークレーでは、近所に住む北東インド出身の母親たちが台所に集まって、書き手の母親からベカン・ウムの作り方を習いました。豆が柔らかくなりすぎると聞きに戻り、うまくできると、お礼に分けてくれたそうです。
書き手自身は、においと味が苦手だと正直に書いています。一方でインドの大都市では、北東インド出身の人がこのにおいのために、近所から料理を控えるよう言われることもある、とも書いています。1つの食べ物が、遠い国では人をつなぎ、自分の国の都会では人を分けてしまう。そんな話です。
作り方の記録
Tamang(2015年)がまとめた昔ながらの作り方です。
- 小粒の乾いた大豆を選んで洗い、10〜12時間水に浸す
- 柔らかくなるまで2〜3時間煮る
- 水を切り、「ヌフラン」と呼ぶ木の生の葉か、「フナティアル」(Phrynium 属)の葉で包む
- 小さな竹かごに入れ、土のかまどの近くなど温かい所で3〜4日
記録に残るまで
1967年、Saradindu Bose の焼き畑の研究書『Carrying capacity of land under shifting cultivation』は、ベカンを「大豆から作る食べ物」と書きました。Soyinfo Center は、これをベカンに触れた最も古い文書とし、ミゾラムで大豆が育てられていたことを示す最も古い文書でもあるだろう、と書いています(2012年1月時点)。
菌
Tamang(2015年)は、ベカンから取り出した枯草菌の株(BT:B9)が、調べた株の中で糸のもとのポリグルタミン酸を最も多く作った株の1つだったと書いています。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、インド北東部の11種の3番目に置いています。
出典
- Tamang JP (2015) Naturally fermented ethnic soybean foods of India. Journal of Ethnic Foods 2:8-17. https://doi.org/10.1016/j.jef.2015.02.003
- Lalhriatzuali Bungsut "Bekang Um: All Wrapped Up in Banana Leaves" On Eating, Volume 3 Issue 7, 2023年11月 https://www.oneating.in/bekang-um-all-wrapped-up-in-banana-leaves/
- Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.522 Bose S 1967 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
