ハワイザールを一言でいうと
インド北東部のマニプル州で、メイテイの人々が作る発酵大豆です。小粒の大豆を粒のまま煮て、葉を敷いた竹かごで3〜5日置くと、糸を引いてアンモニアのにおいが出ます。マニプルの市場では、メイテイの女性たちが売っています。見た目は日本の納豆にいちばん近い仲間の1つです。
| どこで | インド・マニプル州 |
|---|---|
| 何から | 小粒の大豆(粒のまま。灰は入れない) |
| 主な菌 | Bacillus subtilis ほか |
| 食べ方 | そのまま・野菜と煮るカレー・チャゲム・ポンバ |
| 包む物 | イチジクの仲間の葉かバナナの葉 |
食べ方: 砕いた米と煮込む「チャゲム・ポンバ」
シッキム大学の Tamang は2015年の総説で、ハワイザールはそのまま食べるほか、調味料にしたり、野菜と煮てカレーにしたりすると書き、マニプルでよく作る特別な料理として「チャゲム・ポンバ」を挙げています。英語版ウィキペディアは、チャゲム・ポンバを、発酵大豆・からし菜・焼いたか燻した魚・香草で作る料理で、砕いた米(チャゲム)が名前の由来だと説明しています。
マニプル料理のレシピサイト Lukthel に、Mathou Khangembam さんが2022年に載せた作り方の流れです(4人分・45分)。
主な材料
- ハワイザール 1と1/2カップ
- 米 1/2カップ
- からし菜・豆苗・水草(ミズオジギソウ)・さつまいもの葉
- 燻した小えび・燻した魚 各1/2カップ
- しょうが・ターメリック・赤唐辛子
- ローリエ・玉ねぎ・ニラ・クミン・コリアンダー
- からし油
作り方
- 刻んだ野菜を、からし油・米・唐辛子・さつまいもの葉とよく混ぜる
- 残りの野菜、水5〜6カップ、塩・ターメリック・しょうがを入れ、とろみが出るまで煮る
- 燻したえびと魚を入れ、5分ほど煮る
- ハワイザールと香草を入れて2分煮る
- 別の鍋でからし油を熱し、ローリエ・玉ねぎ・ニラ・香辛料をきつね色に炒めて加える
- コリアンダーの葉をのせて火を止める
書き手は、見た目やにおいで避ける人もいる「慣れが要る味」だが、一度覚えると忘れられない、と書いています。手間がかかるので、週末に家族で食べるために作る料理だそうです。英語版ウィキペディアは、ハワイザールとさといもを煮る「パン・ハワイザール・トンバ」も挙げています。
作り方の記録: 粒のまま、葉を敷いた竹かごで
Tamang(2015年)がまとめたメイテイの作り方です。
- 小粒の大豆を選んで洗い、2〜3時間煮る
- 水を切って40℃くらいまで冷ます
- ふた付きの小さな竹かごに、イチジクの仲間(Ficus hispida、メイテイ語で「アッシー・ヘイボン」)かバナナの生の葉を敷き、豆を詰める
- ふたを軽く閉めて台所の近くなど温かい所に3〜5日置く
- アンモニアのにおいと粘りが出れば、よいハワイザール
冷蔵しなければ7日ほどしかもたないので、2〜3日天日で干して数週間取っておくこともあります。キネマと違い、豆を割ったり灰を混ぜたりはしません。作るのは女性で、男性が手伝う、とあります。
記録に残るまで
- 1980年 — マニプル州インパールの医科大学の研究者が、妊娠中の女性99人の栄養を調べた論文で、食習慣の特徴の1つとして「発酵大豆(ハワイザール)が好き」を挙げた。Soyinfo Center は、これをハワイザールに触れた最も古い文書としている(2012年1月時点)。
- 1995年 — マニプル大学の Singh と Devi は、葉の表面にいる2種の細菌でハワイザールを作り比べ、見た目・歯ごたえ・におい・味のどれでも枯草菌の方が向いていると報告した。同じ論文は、ハワイザールが昔から「魚の代わり」として食べられてきたと書いている。
菌
Tamang(2015年)によると、ハワイザールの主な菌は枯草菌(Bacillus subtilis)で、ほかに B. licheniformis、B. cereus などが見つかっています。家ごとに作るので、大きな工場で作る仕組みはなく、作って売ることで暮らしを立てている女性が多い、とも書いています。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、インド北東部の11種の1番目に置いています。
出典
- Tamang JP (2015) Naturally fermented ethnic soybean foods of India. Journal of Ethnic Foods 2:8-17. https://doi.org/10.1016/j.jef.2015.02.003
- Lukthel「Chagem Pomba」Mathou Khangembam、2022年2月14日 https://lukthel.com/recipe/8/chagem-pomba
- Wikipedia "Manipuri cuisine" https://en.wikipedia.org/wiki/Manipuri_cuisine
- Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.822 Bilasini Devi S ほか 1980、No.1530 Singh NI, Devi AU 1995 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
