ベカントゥを一言でいうと
インド北東部の大豆の発酵食品です。キネマの近い仲間として名前はよく挙がるのに、どこの、誰の食べ物かは、資料によって書いてあることが違います。作り方や料理を細かく書いた記録は、読める形では見つかっていません。このページでは、名前が記録に残ってきた流れを、確かめられた所だけで紹介します。
| どこで | インド北東部(ミゾラム州・アッサム州・ナガランド州と、資料によって違う) |
|---|---|
| 何から | 大豆 |
| 食べ方 | カレー(大学の資料の一覧) |
| 最初の記録 | 2001年(Tamang「Kinema」、キッコーマン国際食文化研究センター『Food Culture』3号) |
食べ方: 一覧には「カレー」
インドのバラティダサン大学が公開している発酵食品の資料は、豆類の発酵食品の一覧で、ベカントゥを「大豆から作る、カレーの食べ物」としています。料理の作り方までは書かれていません。
ベカントゥを最初に英語で書いた 2001年の文章は、キネマの近い仲間を紹介する記事でした。同じ記事は、近い仲間の代表であるキネマのカレーの作り方を載せています。油で玉ねぎを炒め、トマトとターメリックを加え、キネマ・塩・青唐辛子を入れて炒め、水を少し足して5〜7分煮て、ゆでたご飯と食べる、という作り方です(キネマのページ)。ベカントゥも同じように食べるのかは、記録からは確かめられません。
記録の流れ: 名前は分かっても、土地が食い違う
- 2001年 — シッキムの大学の研究者 Jyoti Prakash Tamang が、キッコーマン国際食文化研究センターの『Food Culture』3号に「Kinema」を書いた。キネマの近い仲間として「ナガランドのアクニ、マニプルのハワイザール、メガラヤのトゥランバイ、ミゾラムのベカントゥ」を挙げている。納豆の歴史を集めた Soyinfo Center は、これを「bekanthu」に触れた最も古い文書としている(2012年1月時点)。同じ年の Tamang の別の論文も、ベカントゥをミゾラムの物としている。
- 2002年 — Tamang は北京の会議で、キネマ・アクニ・ハワイザール・トゥランバイ・ベカントゥをまとめて紹介し、どれも枯草菌(Bacillus subtilis)がいちばん多い菌だと述べている(Soyinfo Center の要約)。
- 2015年 — 納豆好きの英語のブログ「Nattosphere」は、ミゾラムで、煮た大豆をバナナの葉で包み、かごの中で発酵させて作ると書いている(出典は書かれていない)。
- 2023年・2024年 — Tamang ほかの論文は、ベカントゥを「アッサム州の」大豆の発酵食品として、ベメルツと並べている。
同じ研究者の書いたものでも、2001年はミゾラム州、2023年からはアッサム州です。ミゾラム州にはよく似た名前のベカンがあり、大学の資料の一覧はナガランド州としています。どれが正しいのかを決める記録は、今回は見つかりませんでした。
本では
本『世界の納豆アトラス』では、インド北東部の仲間の1つとして、17番目に置いています。
出典
- Shurtleff W, Aoyagi A (2012) History of Natto and Its Relatives. Soyinfo Center.(No.1719 Tamang 2001 "Kinema"、No.1720 Tamang 2001 "Food culture in the Eastern Himalayas"、No.1738 Tamang 2002 の要約) https://www.soyinfocenter.com/books/151
- Bharathidasan University「Pulse based fermented foods」(Other fermented pulse based foods の表) https://www.bdu.ac.in/schools/biotechnology-and-genetic-engineering/biotechnology/sekardb/pdf/food/3.pdf
- Nattosphere「Natto's International Cousins」2015年2月25日 https://nattosphere.wordpress.com/2015/02/25/nattos-international-cousins/
- Kharnaior P, Das M, Tamang JP (2023) Therapeutic and Anti-Thrombotic Properties of Some Naturally Fermented Soybean Foods of the Eastern Himalayas. Fermentation 9(2):91. https://www.mdpi.com/2311-5637/9/2/91
- Tamang JP (2024) Unveiling kinema: blending tradition and science in the Himalayan fermented soya delicacy. Journal of Ethnic Foods 11:29. https://link.springer.com/article/10.1186/s42779-024-00247-1
このページは2026年10月15日に出典を開いて書きました。料理・製法は記録の紹介です。
